深川青春捕物控(二) 家族の形|東圭一|ハルキ文庫
東圭一(あずま・けいいち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『深川青春捕物控(二) 家族の形』(ハルキ文庫)が新たに本棚に加わりました。
著者について
東圭一さんは、2012年に「足軽塾大砲顛末」で第19回さが大衆文学賞の大賞(笹沢左保賞)を受賞。その後、長い準備期間を経て、2023年に『奥州狼狩奉行始末』で第15回角川春樹小説賞を受賞されました。さらに、同作で2024年に第13回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞し、今注目の時代小説家の一人です。
物語のあらすじ
腹違いの兄で北町奉行所の同心・高柳新之助に度胸を認められ、岡っ引き・勝次郎の手先となった雄太。喧嘩で培った勘の良さもあり、次第にその仕事を認められていく。
しかし、近頃深川を騒がせている「壺盗賊」に襲われ、命の危機に晒されることに。瀕死の状態の中、雄太の脳裏に浮かぶ若き侍の姿……。
そもそも、ただの同心だったはずの父が、なぜ雄太の母に店を出させるほどの金を持っていたのか? そして、父は雄太に何を望んでいたのか?
父の謎、深川の危機、降りかかる事件、そしてさまざまな「家族の形」。雄太はすべてに真っ向から立ち向かう。
王道時代小説、待望の第二弾!(『深川青春捕物控(二) 家族の形』カバー帯の紹介文より抜粋・編集)
ここがポイント
本書は、『深川青春捕物控(一) 父と子』に続くシリーズ第2作です。
母が営む小料理屋を手伝っていた雄太は、小太刀の腕と度胸、勘の良さを買われ、御用聞きの親分・勝次郎のもとで手先の修業中。
幼馴染みの漁師の三男・三吉は、六尺近い長身と漁で鍛えた体力を見込まれ、勝次郎の川舟の船頭役に。
小太刀の道場で知り合った薬種問屋の次男・茂二は、読本書きを目指しながら捕物の現場を経験したいと志願し、手先に加わりました。
この三人に、勝次郎の娘・かよを加えた四人の若者たちが、さまざまな捕物を通じて成長していく青春群像劇です。
雄太は、危険な捕物に挑む中で、亡き父にまつわる謎を探りながら、次第に自身の運命と向き合っていきます。
また、一話完結の捕物話と、一冊を通して描かれる謎が組み合わさり、最後まで一気に読ませる構成になっています。
シリーズ第1作を読んだ方はもちろん、今作からでも楽しめる内容となっていますので、ぜひ手に取ってみてください!
今回取り上げた本
書籍情報
深川青春捕物控(二) 家族の形
東圭一
角川春樹事務所・ハルキ文庫
2025年2月18日第一刷発行
装画:浅野隆広
装幀:五十嵐徹(芦澤泰偉事務所)
目次:
第一話 田舎蕎麦
第二話 古物道楽
第三話 鍛冶屋の鉄砲
第四話 抜け荷
解説 細谷正充
本文271ページ
文庫書き下ろし
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