2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

【新着本】PHP文芸文庫2025年2月発売の新刊。名手の競演

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

2025年2月刊行のPHP文芸文庫が新たに本棚に加わりました。

今月は、梶よう子さんの歴史小説、『噂を売る男 藤岡屋由蔵』植松三十里さんの歴史小説、『万事オーライ 別府温泉を日本一にした男』風野真知雄さんのユーモア時代小説、『象が来たぞぉ(一) くノ一忍湯帖』と、歴史時代小説の名手による魅力的な作品が揃いました。
どれも読み応えのある作品ですので、ぜひお手に取ってみてください。

『噂を売る男 藤岡屋由蔵』

噂を売る男 藤岡屋由蔵 (PHP文芸文庫)梶よう子
PHP研究所・PHP文芸文庫

装丁:泉沢光雄
装画:宇野信哉

あらすじ
神田旅籠町の一角に、古本屋を営む男がいました――その名は藤岡屋由蔵。しかし、彼が本当に売っていたのは、裏付けの取れた噂や風聞でした。買い求めるのは、各藩の留守居役や奉行所の役人たちです。
そんな由蔵がシーボルト事件に巻き込まれ、手下が命を落とします。理不尽な死を許せない由蔵は、真相を暴くために動き始めます。
情報屋の視点で描かれる、天下を揺るがす陰謀とは――。江戸を舞台にした、スリリングな時代サスペンス小説です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)

ここがポイント
藤岡屋由蔵は、江戸市中の事件や噂を日記に記録し、それを必要とする者に提供することを生業としていました。彼は「江戸の日記王」としても知られ、遺した『藤岡屋日記』は、当時の江戸の様子を知ることができる貴重な資料です。
本書の舞台は文政十一年(1828年)。シーボルト事件を背景に、情報屋の視点から描かれる権力者の陰謀をぜひお楽しみください。

↓単行本刊行時のレビュー

江戸の日記王、藤岡屋由蔵。シーボルト事件の真相を追う
『噂を売る男 藤岡屋由蔵』|梶よう子|PHP研究所梶よう子さんの長編歴史時代小説、『噂を売る男 藤岡屋由蔵』(PHP研究所)をご恵贈いただきました。藤岡屋由蔵(ふじおかやよしぞう)というと、高橋克彦さんの『完四郎広目手控』では、主人公の香冶...

目次
第一章 軒下の古本屋
第二章 記憶の底
第三章 阿蘭陀人江戸参府
第四章 頭巾の男
第五章 怒りの矛先
第六章 学者の妬心

2025年2月21日 第1版第1刷
本文332ページ

本作は2021年8月、PHP研究所より刊行された単行本を文庫化したもの。

梶よう子|時代小説ガイド
梶よう子|かじようこ|時代小説・作家東京都生まれ。2005年、「い草の花」で第12回九州さが大衆文学大賞を受賞。2008年、『一朝の夢』で第15回松本清張賞を受賞。2015年、『ヨイ豊』が第154回直木賞候補作品に。時代小説SHOW 投稿記...

『万事オーライ 別府温泉を日本一にした男』

万事オーライ 別府温泉を日本一にした男 (PHP文芸文庫)植松三十里(うえまつ・みどり)
PHP研究所・PHP文芸文庫

装丁:芦澤泰偉
装画:ヤマモトマサアキ

あらすじ
愛媛県宇和島の米穀商の息子として生まれた油屋熊八(あぶらや・くまはち)は、株取引で一度は成功を収めるものの、判断を誤り財産を失ってしまいます。
再起をかけてアメリカへ渡るも成果を得られず、帰国。48歳で大分県別府に宿屋を開業し、ここから熊八の第二の人生が始まります。
地元の反対や資金難など、数々の困難を「万事オーライ」の精神とアイデアで乗り越え、仲間や妻とともに別府温泉を日本一へと導いた実業家の奮闘を描く歴史長編です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)

ここがポイント
主人公・油屋熊八は、約100年前に別府温泉の観光開発に尽力し、日本一の温泉地へと育て上げた実業家です。
彼は、株取引の失敗により財産のほぼすべてを失い、単身でアメリカへ渡るも成果を得られず帰国。その後、50歳近くになってようやく別府観光に携わり始めます。
しかし、「万事オーライ」という前向きな姿勢と、アイデア、行動力を武器に、別府温泉を日本一の温泉地へと発展させました。
本書は、“別府観光の父”と呼ばれるまでになった熊八と、それを支えた妻や仲間たちの物語です。

↓単行本刊行時のレビュー

観光業にエール。別府温泉を日本一にした油屋熊八の感動物語
『万事オーライ 別府温泉を日本一にした男』|植松三十里|PHP研究所植松三十里さんの長編小説、『万事オーライ 別府温泉を日本一にした男』(PHP研究所)をご恵贈いただきました。本書の主人公・油屋熊八(あぶらやくまはち)は、明治維新の五年前、...

目次
1 小さな旅人
2 油を売らない油屋
3 地獄を見たか
4 すったもんだの開業
5 別府温泉日本一
6 発車オーライ!
7 なおも夢は果てなし

2025年2月21日 第1版第1刷
本文503ページ

本書は2021年9月、PHP研究所より刊行された単行本を文庫化したもの

植松三十里|時代小説リスト
植松三十里|うえまつみどり|時代小説・作家静岡市出身。東京女子大学史学科卒。出版社勤務など経て、作家デビュー。2002年、「まれびと奇談」で第9回「九州さが大衆文学賞」佳作入選。2003年、『桑港にて』で第27回歴史文学賞受賞。2009年、...

『象が来たぞぉ(一) くノ一忍湯帖』

象が来たぞぉ(一) くノ一忍湯帖 (PHP文芸文庫)風野真知雄
PHP研究所・PHP文芸文庫

装丁:芦澤泰偉
装画:おとないちあき

あらすじ
時の将軍・徳川吉宗の命を受け、お庭番の湯煙り権蔵とくノ一・あけびは、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で掴んだという奥州藤原家の金塊の謎を探るため、仙台藩に潜入します。
一方、西では長崎から江戸へ向かう象の命が何者かに狙われていました。
大の温泉好きで町の湯屋にお忍びで通う吉宗をはじめ、個性豊かな忍者や家臣たちが活躍する、ユーモア溢れる時代小説シリーズの第一弾です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)

ここがポイント
「いい湯じゃのう」シリーズに続く、ユーモア時代小説の新シリーズが登場しました。
温泉忍者の湯煙り権蔵と、若きくノ一・あけびのコンビが、吉宗の命を受けて仙台伊達藩に潜入。奥州藤原氏が隠した莫大な金塊の行方と、松尾芭蕉の旅の謎を追います。
不潔で行儀は悪いが湯の中では無敵の中年忍者・権蔵と、19歳の若きくノ一・あけびの珍道中も見どころの一つ。痛快なストーリーをぜひお楽しみください。

↓『いい湯じゃのう(一)』のレビュー

湯の中で無敵のお庭番と美貌のくノ一が、名湯の不祥事を調査
『いい湯じゃのう(一) お庭番とくノ一』|風野真知雄|PHP文芸文庫風野真知雄の時代小説、『いい湯じゃのう(一) お庭番とくノ一』(PHP文芸文庫)をご恵贈いただきました。一風変わったユニークな設定で、肩の凝らない軽妙な時代小説を得意とする...

目次
第一章 田力とくノ一
第二章 湯屋の仲間たち
第三章 象は走る
第四章 捕まったお庭番
第五章 湯屋の密談
第六章 怪しき唐人屋敷
第七章 権蔵を救え
第八章 独眼竜の無念
第九章 象が行く道
第十章 あけびのおかげで

2025年2月21日 第1版第1刷
本文253ページ

初出:
本書は、2023年2月から2025年1月にわたって、『河北新報』『南信州新聞』『長野日報』『桐生タイムス』『大分合同新聞』『北鹿新聞』『三條新聞』『山梨日日新聞』『北海民友新聞』など各紙に順次掲載された作品を加筆修正したもの。

風野真知雄|時代小説ガイド
風野真知雄|かぜのまちお|時代小説・作家1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。1992年に、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞しデビュー。2015年に、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を、『沙羅沙羅越...