『逃げる役人 密命 はみだし新番士 2』『妖し川心中 大川橋物語 2』『化物屋敷 御隠居用心棒 残日録 3』
2025年1月下旬に刊行された二見時代小説文庫の新刊3冊をご紹介します。
『逃げる役人』と『妖し川心中』はシリーズ第2弾、『化物屋敷』はシリーズ第3弾で、それぞれが驚きの展開を見せる、飛翔の巻といえる内容となっています。
逃げる役人 密命 はみだし新番士 2
氷月葵
二見書房・二見時代小説文庫
カバーイラスト:浅野隆広
カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
十八歳の不二倉壱之介は、将軍や世嗣の警護を担う新番組の見習い新番士。十五歳で将軍に即位した家斉からの信頼は厚く、老中首座として権勢を振るう松平定信の隠密と対決することになります。本作は、『十五歳の将軍』に続くシリーズ第2弾です。
あらすじ
横領役人を切腹させよ。家斉の命が下された。
横領役人を切腹させよ――家斉の命が下された。
新番士・不二倉壱之介に下されたのは、「勘定奉行所組頭だった土山宗次郎に切腹をさせよ」という命だった。土山は大田南畝とともに吉原の遊女を身請けし、江戸中で評判となった人物。御用金が遊女の身請けに使われたという疑惑が浮上する中、壱之介と同時に、老中松平定信の配下である目付も土山の行方を追い始める。
先を越されてはならない――。壱之介は果たして命を全うすることができるのか?(『逃げる役人 密命 はみだし新番士 2』のカバー裏面の紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
目次
序
第一章 上様のお呼び出し
第二章 政変
第三章 狂歌人
第四章 追跡
第五章 土壇場
2025年2月25日 初版発行
本文275ページ
文庫書き下ろし
妖し川心中 大川橋物語 2
森真沙子
二見書房・二見時代小説文庫
カバーイラスト:浅野隆広
カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
主人公は、大川橋近くで開業したばかりの接骨院「駒形名倉堂」を仕切る二十五歳の鞍之介。名倉堂は、明和七年(1770年)に足立・北千住で名倉弥次兵衛直賢が「ほねつぎ名倉」として開業したのが始まりです。文政の頃も直賢は現役で治療の指揮を執っており、鞍之介は彼から「骨接ぎの術」を学びました。本作は、『「名倉堂」一色鞍之介』に続くシリーズ第2弾です。
あらすじ
“妖し川心中”の伝説はまだ生きているのか――。
「名倉流の骨つぎ師になって、人のために尽くしたい」と鞍之介を訪ねたのは、旧知の千尋。しかし、看護人として高い評価を得ていた彼女が、ある日突然姿を消してしまう……。
鞍之介の脳裏に蘇るのは、十年前に闇に葬られた“あれは土砂崩れじゃない!”という叫び。「怪し川」と呼ばれる因縁の川に秘められた真実を千尋は知ってしまったのか? そして、彼女が想いを寄せる人物の正体とは――?(『妖し川心中 大川橋物語 2』のカバー裏面の紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
目次
第一話 三人の名付け親
第二話 昼の月
第三話 妖し川心中
第四話 流れ星飛んだ
2025年2月25日 初版発行
本文265ページ
文庫書き下ろし
化物屋敷 御隠居用心棒 残日録 3
森詠
二見書房・二見時代小説文庫
カバーイラスト:安里英晴
カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
「人生六十年、その後の余生はおまけだ。あとは自由に好きなように生きよう」と隠居し、深川の仕舞屋に移り住んだ羽前長坂藩の元江戸家老・桑原元之輔。彼は、口入屋の扇屋伝兵衛に持ちかけられた「用心棒」の仕事を引き受け、数々の事件に挑みます。御隠居用心棒としての手腕が光る本シリーズ。本作は、『落花に舞う』、『暴れん坊若様』に続く第3弾です。
あらすじ
大名の空き屋敷に隠された驚愕の事実――。
呉服屋伊勢屋のお内儀と娘お幸(ゆき)の用心棒を引き受けた桑原元之輔。しかし、お幸が突如として姿を消してしまう。手がかりは「化物屋敷」と呼ばれる大名の廃屋。お幸はどこに連れ去られたのか? なぜ狙われたのか?
伊勢屋夫婦の抱える大きな秘密と、お世継ぎ問題に揺れる御家の陰謀が交錯する中、元之輔はお幸を救い出すべく奔走する――。(『化物屋敷 御隠居用心棒 残日録 3』のカバー裏面の紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
目次
第一章 湯島の三人吉三
第二章 怪しの武家屋敷
第三章 夏でもないのに怪談話
第四章 陰謀の屋敷
2025年2月25日 初版発行
本文290ページ
文庫書き下ろし