「大衆文芸」2024年冬号|新鷹会
財団法人新鷹会が発行する会報誌「大衆文芸」2024年冬の号が届きました。
表紙には、なんと「最終号」の文字が――。
表紙をめくると、作家で新鷹会理事長の松岡弘一さんが、巻頭エッセイで「大衆文芸」の最終号と今後の展開について述べていました。
約八十年の歴史の中で、直木賞作家十名、新人作家百名を輩出してきた新鷹会発行の「大衆文芸」は、文壇の予備校的な役割を果たしてきました。しかし令和に入り、ベストセラー作家の平岩弓枝さんの夫であり代々木八幡宮の宮司でもあった伊東正輝編集長、さらに平岩弓枝理事長が相次いで亡くなったことをきっかけに、松岡理事長、平野周編集長の体制がスタート。以降、新鷹会の資金が逼迫する状況が続いたそうです。
そんな中、旧長谷川邸を3年がかりで売却することで、潤沢な資金を得ることができ、新鷹会の初期の目的を引き継ぎ、新生「大衆文芸」を発行する見通しが立ったと記されています。
なお、新鷹会は、長谷川伸氏の没後、その遺言により財団法人になりました。長谷川氏の財産と遺志を受け継ぎ、小説文化の発展に寄与する活動を行っています。
改めて、長谷川氏の遺志を守り続ける新鷹会の皆さんの努力と、小説文化に懸ける熱意に深く敬服しました。
新鷹会の勉強会は、会の発足当初から変わらず、現在も毎月十五日に事務所がある川越市で開催されているそうです。
「大衆文芸」2024年冬号に掲載された平野周さんの短編「捕物競べ―夫婦十手捕物手柄―」は、古き良き捕物小説の醍醐味を味わえる一作でした。