『別離 名残の飯』|伊多波碧|光文社文庫
12月28日に風邪をひき、丸二日間寝たきりの状態でしたが、ようやく回復し、この原稿を書くことができました。
2025年1月1日から1月10日に刊行予定の文庫新刊情報として、 「2025年1月上旬の新刊(文庫)」を公開いたしました。
今回特に注目したいのは、伊多波碧(いたば・みどり)さんによる文庫書き下ろし時代小説、『別離 名残の飯』です。
「名残の飯」シリーズ
江戸は隅田川縁にある橋場の渡し――千住大橋の下流に位置するこの渡し場の近くで、母と娘が営む一膳飯屋『しん』を舞台にした物語です。
育ての親との別れを決意した相撲取り、恋人との逢瀬を楽しむ芸妓、母親と離れて暮らしてきた息子、可愛い娘を嫁に出した両親……。この店では、美味しい料理を通じて様々な人々の出会いと別れが描かれます。
母・おしげと娘・おけいにも、店を続ける特別な理由があり、その背景に隅田川河畔の美しい情景が絡みます。胸に沁みる人情物語が、シリーズを通して読者の心を揺さぶります。
現在、シリーズの好評既刊として『橋場の渡し』『みぞれ雨』『形見』『家族』の4冊がございます(2024年12月31日時点)。
著者について
伊多波碧さんは、2023年に「名残の飯」シリーズで第12回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞されました。また、2024年には、NHK「連続テレビ小説」のモデルとなった日本初の女性裁判官・三淵嘉子を描いたノンフィクション『裁判官 三淵嘉子の生涯』(潮文庫)がベストセラーとなり注目を集めました。さらに、同年には初の警察小説『生活安全課防犯係 喫茶ひまわり』(小学館文庫)も発表され、幅広いジャンルで活躍されています。
あらすじ
意地悪な老人と、不幸せを絵に描いたような少女。二人の出会いは奇跡を起こすのでしょうか――。おしげとおけいの母娘が営む一膳飯屋『しん』には、今日も美味しい食事と温かな人情を求めて客が訪れます。ある日、酒問屋の隠居から使いを頼まれたという一人の少女が現れます。その少女は、どうやら『しん』の母娘と不思議な関わりがあるようで……。
暗い過去を抱える人々が偶然の糸で結びつき織りなす奇跡の物語。涙溢れるラストに感動する「名残の飯」シリーズの最新作、第5弾です。
(『別離 名残の飯』(光文社文庫)Amazon紹介文より抜粋・編集)
あらすじに触れるだけで、期待に胸が震えます。続きはぜひ本書でお楽しみください。