秀吉の噓 小田原北条戦記|斎藤光顕|郁朋社
斎藤光顕(さいとう・みつあき)さんの『秀吉の噓 小田原北条戦記』(郁朋社)が私の本棚に新たに加わりました
本書は、第24回(2024年度)「歴史浪漫文学賞」創作部門特別賞を受賞し、出版化された長編小説です。著者の斎藤さんは、第7回「歴史浪漫文学賞」優秀賞も受賞されており、今回が2回目の受賞となります。
この賞は、歴史小説や歴史考察ジャンルの出版、自費出版支援を行う郁朋社(いくほうしゃ)が主催する文学賞です。日本人の心のルーツを探るため、時代を遡り、独自の視点で歴史を再検証した斬新かつ学術的な文学作品を広く公募し、気鋭の作家を育てることを目的としています。活字離れが進む中、日本人としてのアイデンティティを再認識し、歴史文学のさらなる普及に貢献すべく設立されました。
創作部門と研究部門に分かれて受賞者を発表し、歴代の受賞者には、篠﨑紘一さん(『万葉集をつくった男 小説・大伴家持』など)、矢的竜さん(『折り紙大名』)がいます。
物語のあらすじ
第24回歴史浪漫文学賞特別賞。
氏政の意地と秀吉の深謀。関東制覇目前の北条氏の前に天下統一を目指す秀吉が立ちはだかる。果たして戦は避けられなかったのか。
(※カバー帯およびAmazon紹介文より抜粋・編集)
さて、物語は天正十六年(1588)五月、城主北条氏直をはじめ重臣たちが顔をそろえた小田原城に、関白豊臣秀吉の使者として津田盛月(信重)ら四人が詰問のため訪れたところから始まります。
三カ月前、北条家は秀吉に臣従する形で和睦を結びました。しかし、氏直や隠居した父・氏政らは、それまで戦で他国の領土を奪い、西国の覇者となった秀吉が、関東・奥羽に向けて一方的に発した「惣無事令」や上洛の要求を道理に合わないと考えていました。
そして、氏政は詰問使に「我ら親子、極月には上洛いたしましょう。その旨関白殿下にお伝え願いたい」と言い切りましたが……。
物語は、氏政の意地と秀吉の深謀に焦点を当て、北条氏規の上洛、名胡桃城事件、小田原城の落城を描いた気鋭の作家による戦国歴史小説です。
今回取り上げた本
書籍情報
秀吉の噓 小田原北条戦記
斎藤光顕
郁朋社
2024年12月7日第一刷発行
装丁:宮田麻希
目次
一 詰問使
二 氏規上洛
三 名胡桃城事件
四 小田原攻め
五 二つの密書
六 露見
七 落城
本文261ページ
第24回歴史浪漫文学賞特別賞受賞作「小田原北条戦記」を改題し、加筆修正して単行本にまとめたもの