【新着本】林真理子『皇后は闘うことにした』――高貴な結婚を描く

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皇后は闘うことにした|林真理子|文藝春秋

皇后は闘うことにした (単行本)林真理子さんの『皇后は闘うことにした』(文藝春秋)が本棚に加わりました。

著者は、明治天皇と皇后に仕えた教育者・下田歌子を描いた『ミカドの淑女』や、梨本宮家の子女が朝鮮王家へ嫁いだ実話を基にした『李王家の縁談』などで知られ、皇室小説の名手としての地位を築いています。

本書は『李王家の縁談』のスピンオフとして書かれた短編集です。著者はあとがきで、「宮廷や高貴な人にまつわる資料が面白くてたまらなかった。それ以来、皇族や華族に関しての本を集めてむさぼるように読んだ」と記しており、その情熱が詰まった一冊となっています。皇族たちの「こうであったかもしれない」心の内に触れられるのが、本作の大きな魅力です。

さらに、植松三十里さんの歴史小説『大正の后 昭和への激動』で興味を持った大正天皇の后・貞明皇后が登場する表題作「皇后は闘うことにした」にも期待が高まります。

物語のあらすじ

妹の友人に恋焦がれ、結婚目前まで漕ぎつけた久邇宮朝融王。しかし、彼女にまつわる“ある噂”を耳にし、婚約を強引に破棄する。その後、別の宮家の子女と結婚するものの……(「綸言汗の如し」)。
ある日、久邇宮家の息子たちは密かに語り合っていた。「内親王はご免こうむりたい」と――(「兄弟の花嫁たち」)。

婚約破棄したわがままプリンス、選び抜かれた宮家の嫁、そして大正天皇の后……。その高貴な結婚は本当に幸せだったのか――?
皇族華族の縁談を題材にした衝撃的な短編集です。

(※カバー帯およびAmazon紹介文より抜粋・編集)

今回取り上げた本




書籍情報

皇后は闘うことにした
林真理子
文藝春秋
2024年12月10日第一刷発行

装画・挿画:松山ゆう
装丁:大久保明子

目次
綸言汗の如し
徳川慶喜家の嫁
兄弟の花嫁たち
皇后は闘うことにした
母より

初出 「オール讀物」
「綸言汗の如し」2021年9・10月合併号
「徳川慶喜家の嫁」2022年12月号
「兄弟の花嫁たち」2024年2月号
「皇后は闘うことにした」2024年6月号
「母より」2024年9・10月特大号

本文171ページ

林真理子|時代小説ガイド
林真理子|はやしまりこ|作家1954年、山梨県山梨市生まれ。日本大学芸術学部卒業。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。1986年、『最終便に間に合えば/京都まで』で第94回直木賞を受賞。1995年、『...