華ふぶき 鳴神黒衣後見録|佐倉ユミ|祥伝社文庫
佐倉ユミさんの『華ふぶき 鳴神黒衣後見録』(祥伝社文庫)が本棚に加わりました。
本作は、『螢と鶯』『ひとつ舟』に続く、「鳴神黒衣後見録(なるかみくろごこうけんろく)」シリーズの第3弾です。
主人公の畠中狸八(はたなか・りはち)は、もともと大店の跡取りでしたが、放蕩の末に勘当され、路頭に迷う身となりました。そんな彼を救ったのは、芝居小屋・鳴神座の狂言作者である石川松鶴。狸八は作者部屋で見習いをしながら黒衣(舞台裏方)も兼務し、数々の失敗を重ねつつも芝居の世界で奮闘します。自らの居場所を見つけ、成長していく彼の姿が描かれた物語です。
また、鳴神座の面々が芝居の上演に向けて奮闘する群像劇も、大きな読みどころのひとつです。今回は「雪中白狐華宴(せっちゅうびゃっこはなのえん)」という演目が取り上げられますが、その内容にも大変興味が湧きます。どんな芝居が展開されるのか、期待が高まりますね。
物語のあらすじ
鳴神座一同は、狂言作者松鶴の言に驚愕した。二十五年前、一座が大失敗した演目「雪中白狐華宴」をやると宣ったのだ。父を殺された狐の兄弟が、雪原で仇討ちする話である。作者見習いで一座の力になりつつある狸八は、“雪衣(ゆきご)”を務めることに。だが、凝った衣裳と道具が要り、緻密な立ち回りを求められる難儀な芝居だった。そんな折、主役ふたりの確執が明らかとなり……。
(※カバー裏紹介文より抜粋・編集)
今回取り上げた本
書籍情報
華ふぶき 鳴神黒衣後見録
佐倉ユミ
祥伝社・祥伝社文庫
2024年12月20日初版第1刷発行
カバーデザイン:芦澤泰偉
カバーイラスト:スカイエマ
目次
一、金魚の春
二、嵐
三、紅と白
四、偽物
五、本物
六、華の宴
文庫書き下ろし
本文323ページ
佐倉ユミ|時代小説ガイド
佐倉ユミ|さくらゆみ|小説家群馬県出身。2018年、「応挙の虎、古井戸の月」で、第49回ノベル大賞を受賞し、同作を改題した『うばたまの―墨色江戸画帖』を刊行してデビュー。時代小説SHOW 投稿記事著者のホームページ・SNS佐倉ユミ(@sak...