『清少納言なぞとき草紙』|有馬美季子|徳間文庫
有馬美季子(ありま・みきこ)さんの文庫書き下ろしの平安時代小説、『清少納言なぞとき草紙』(徳間文庫)を本棚にお迎えしました。
著者の有馬さんは、2021年、『はないちもんめ』シリーズ (祥伝社文庫)と『はたご雪月花』シリーズ(光文社文庫)で、第10回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞しました。その後も江戸時代を舞台にした、時代小説を発表して人気を博している文庫書き下ろしの名手です。
宮中にいたころから「勘働き」に定評があった清少納言。今は宮仕えを辞し、東山月輪の小さな邸で暮らしている。ある日、陰陽師の安倍吉平(よしひら)が訪ねてきた。怪事件の謎を解くために知恵を貸してほしいという。青いもの生首の正体、女房が遺した真似歌の真意……。調べを進めるうちに、話題の「源氏物語」と事件が呼応していることが判明する。名探偵、清少納言が難題に挑む平安ミステリー!
(『清少納言なぞとき草紙』カバー裏紹介文より)
本作では、有馬さん初の平安時代を舞台にしたミステリーに挑んでいます。
主人公の清少納言は40歳を過ぎ、宮仕えを辞めて東山月輪の邸で静かに暮らしていました。
そこへ訪れたのは、陰陽師の安倍吉平。
彼は名陰陽師・安倍晴明の子ながら、その能力は期待を下回り、弟の吉昌には遠く及びません。しかし、二人がバディを組み、事件解決に挑むことになります。
鍵となるのは、紫式部が著した「源氏物語」。
この物語が事件にどう関わるのかが、作品の大きな見どころです。歴史ファンやミステリーファンだけでなく、大河ドラマが好きな方にも魅力的な一冊です。
清少納言なぞとき草紙
有馬美季子
徳間書店・徳間文庫
2024年9月15日 初版
カバーイラスト:槇えびし
カバーデザイン:bookwall
●目次
序章
第一章 青い目の生首――《帚木》の後の事件――
第二章 女房が遺した真似歌――《紅葉賀》の後の事件――
第三章 花山法皇の怪死――《澪標》の後の事件――
第四章 狙われた紫式部――《若菜下》と《橋姫》の後の事件――
本文285ページ
文庫書き下ろし
■今回ご紹介した本