『龍ノ眼』|麻宮好|祥伝社
2024年9月1日から9月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2024年9月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月の新刊では、麻宮好(あさみやこう)さんの『龍ノ眼』(祥伝社)に注目してみました。
本書は、砥石で潤う豊かな村に、潜入した隠密同心が遭遇する奇妙な風習と村ぐるみの悪事を暴いていく時代小説です。
これは龍神の眼じゃ。富を生む砥窪の安寧と長命になる蓬をくださる。
隠密同心の長澤多門は、小日向藩石場村へ赴いた。そこは上物砥石を産する豊かな地。奉行所から、翡翠のごとき美しい砥石の闇取引根絶のため、探索を命じられたのだ。砥改人に扮して潜入するや、多門は次々と奇妙な風習に遭遇する。信仰を集める「おりゅうさま」と絶対に入ってはいけない禁足地の存在、男たちが二十五歳で長寿の祝いをすること、夜中にしか表に出ない不思議な兄弟――。だが、ある女の死によって、多門の前に村ぐるみの罪業が浮かび上がる……。(『龍ノ眼』Amazon内容紹介より)
著者は、2022年に時代物の人情捕物小説『恩送り 泥濘の十手』で第1回警察小説新人賞を受賞してデビューしました。その後も『月のうらがわ』や『母子月 ~神の音に翔ぶ~』など、人の弱さや優しさを描いた人情時代小説を発表し、新作が気になる新進気鋭の時代小説家の一人です。
本書で、因習に囚われた人間の愚かさと哀しさをどのように描いていくのか、著者の表現力の幅を広げる作品で、読むのが楽しみです。
時代小説★2024年9月の新刊情報(単行本)
単行本★時代小説新刊情報|2024年9月の新刊(1日→末日) 2024年9月1日から9月末日の間に、単行本(新書含む)で刊行される時代小説、歴史関連書、古典日本文学の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介...
■今回取り上げた本
麻宮好|時代小説ガイド
麻宮好|あさみやこう|時代小説・作家 群馬県生まれ。大学卒業後、会社員を経て、塾講師をつとめる。 2020年、第1回日本おいしい小説大賞の応募作『月のスープのつくりかた』を改稿して、デビュー。 2022年、『恩送り 泥濘の十手』で第1回警察...