『ごんげん長屋つれづれ帖(八) 初春の客』|金子成人|双葉文庫
2024年3月11日から3月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2024年3月中旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回注目の作品は、金子成人(かねこなりと)さんの文庫書き下ろし時代小説、『ごんげん長屋つれづれ帖(八) 初春の客』です。
著者は「鬼平犯科帳」や「剣客商売」などの人気時代劇の脚本を数多く手掛けてきた名脚本家。2014年に文庫書き下ろしの『付添い屋・六平太』で時代小説デビューするや、一躍人気作家となりました。本書は著者の初めての人情長屋ものです。
根津権現社にほど近い谷中三崎町の寺で、行き倒れの若い女が見つかった。女は激しい折檻を受けていたらしく、医師である白岩道円の屋敷に運び込まれたという。
目明かしの作造から、女がうわ言で、娘のお琴への詫びを口にしていたとの話を聞いたお勝は、女に事情を質すべく、道円の屋敷に足を運ぶのだが――。
くすりと笑えてほろりと泣ける、これぞ人情物の決定版。時代劇の超大物脚本家が贈る、大人気シリーズ第八弾!(『ごんげん長屋つれづれ帖(八) 初春の客』(双葉文庫)Amazonの内容紹介より)
主人公のお勝は、根津権現門前町にある『ごんげん長屋』に、13歳のお琴、11歳の幸助、8歳のお妙の3人の子供たちと暮らしています。ところが、3人の子らは、いずれも孤児で、血はつながっていません。
質屋『岩木屋』で番頭として働くお勝は、口やかましく、間違ったことにはかみなりを落とすこともありますが、『ごんげん長屋』の住人たちにとっては、温かく頼りになる存在です。
家族の愛や、人の情が恋しくなったとき、本書で癒されます。
前に『ごんげん長屋つれづれ帖(一) かみなりお勝』については、双葉社の文芸総合サイト「Colorful(カラフル)」に、その魅力を書かせていただきました。
■今回ご紹介した本