『恩送り 泥濘の十手』|麻宮好|小学館文庫
2024年2月1日から2月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2024年2月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回注目の作品は、麻宮好(あさみやこう)さんの捕物小説、『恩送り 泥濘の十手』です。
おまきは岡っ引きの父・利助を探していた。
火付けの下手人を追ったまま、行方知れずになっていたのだ。
手がかりは父が遺した、漆が塗られた謎の容れ物の蓋だけ――。
いったいどんな容れ物なのか? そして身はどこにあるのか?
おまきは材木問屋の息子・亀吉、目の見えない少年・要の力を借りるが、なかなかもつれた糸は解けない。
そんなある日、大川に揚がった亡骸の袂から漆塗りの容れ物が見つかったと臨時廻り同心の飯倉から報せが入る。
しかし、なぜか蓋と身が取り違えられているという。
後に、父の遺した蓋と亡骸が遺した容れ物は一対だったと判るが……。
父は生きているのか、亡骸との繋がりは? 容れ物は誰のものなのか?
おまきたちは、新しい手がかりをもとに下手人を探すべく、江戸の町を奔走する!
虚を突く真相に落涙する、第一回警察小説新人賞受賞作。(『恩送り 泥濘の十手』(小学館文庫)Amazonの内容紹介より)
火付け犯を追ったまま、行方知れずになった岡っ引きの父を探す娘おまき。
父に手札を与えていた同心に何を聞いても頼りにならず、おまきの焦燥は募るばかり。
孤軍奮闘のおまきを助ける子分が、材木問屋の息子・亀吉、目の見えない少年・要。
少年二人の連係プレーとブロマンス(熱い友情)も爽やかで微笑ましい、傑作人情捕物小説。
著者が凄いのは、警察小説を対象にした文学賞で、江戸の警察小説である捕物小説で、第1回の新人賞を受賞したこと。
現代ミステリーで活躍されている作家たちがつとめる選考委員を、新人離れしていると、激賞させた時代小説です。
■今回ご紹介した本