『幕末紀 宇和島銃士伝』|柴田哲孝|光文社文庫
2023年11月11日から11月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「文庫●2023年11月中旬の新刊」を掲載しました。
今月注目しているのは、光文社文庫から刊行される、柴田哲孝さんの歴史小説、『幕末紀 宇和島銃士伝』です。
著者は、2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞し、2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞しています。ミステリー、ノンフィクション、競馬関連書で活躍されている作家。
伊達宇和島藩八代藩主・伊達宗城の密命を受け脱藩し、激動の幕末を生き抜いた柴田快太郎という男――著者・柴田哲孝の高祖父である。柴田家に残る資料に基づき、射撃の達人でもあった快太郎を主人公に、桜田門外の変から池田屋事件、新選組、蛤御門の変に至るまでの幕末の真実を描く! 『下山事件』で昭和史に残る未解決事件の真相に迫った著者による傑作歴史小説!
(『幕末紀 宇和島銃士伝』(光文社文庫)Amazonの内容紹介より)
実在した著者の高祖父(祖父母の祖父)を主人公に、柴田家に残る資料をベースにしているということで、そのリアリティーに圧倒されそうです。
幕末の伊達宇和島藩に着目したのが面白く、食指を動かされました。
第八代藩主の伊達宗城(だてむねなり)は、殖産興業を中心に藩政改革を行い、木蝋の専売化、石炭の埋蔵調査などを実施しました。幕府から追われ江戸で潜伏していた高野長英を招き、さらに長州より村田蔵六を招き、軍制の近代化にも着手しました。
福井藩主・松平春嶽、土佐藩主・山内容堂、薩摩藩主・島津斉彬とともに「四賢侯」とうたわれ、幕政に口を出し、改革を訴えた人物として知られています。
ミステリー、ノンフィクションの名手である著者が、どんなふうに幕末の激動を描くのか、大いにそそられます。
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『幕末紀 宇和島銃士伝』(柴田哲孝・光文社文庫)
『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝・祥伝社文庫)
『TENGU』(柴田哲孝・双葉文庫)