ゴールデンウィークのとある日、東京都墨田区にあるたばこと塩の博物館で開催されている「没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界」(会期:2023年4月29日~2023年6月25日)に行ってきました。
錦糸町駅から、大横川親水公園を徒歩で北上して20分あまり。
途中、川の中をカルガモの親子が泳いでいるのを見て癒されました。
たばこと塩の博物館は、以前に東京都渋谷区にありましたが、2015年4月、墨田区に移ってニューアルオープンした、日本たばこ産業(JT)が運営する博物館です。
生涯の節目ごとに南畝を支えた友人に、たばこ屋の平秩東作と蘭奢亭薫がいたことから、没後200年記念となる本展が企画され、開催されました。
大田南畝(おおたなんぽ)は、寛延2年(1749)に牛込(東京都新宿区中町)の御家人の家に生まれ、 文政6年(1823年)に数え75歳で亡くなりました。
南畝は十代で漢詩を発表すると、狂詩、狂歌、戯作など幅広い分野で活躍し、文芸界でよく知られる人物になっていきます。
その一方で、寛政6年(1794)、幕府の人材登用試験である「学問吟味」を突破すると、数え46歳で幕府の文官に登用されました。
今回の展示では、文芸界の巨星としての面だけでなく、幕臣である南畝の仕事ぶりも見ることができて興味深いです。
支配勘定に任命され、以後も大坂銅座、長崎奉行所、玉川巡検など、転勤・出張を交えて隠居することなく死ぬまで現役で働いていました。
(幕臣時代の大田南畝を主人公にした時代小説が読んでみたいです)
展示は、
1.南畝の文芸
2.情報編集者としての貌
3.典籍を記録・保存する
4.歴史・地理を考証する
5.公務に勤しむ
6.時代の記録・証言者として
7.雅俗の交遊圏
付録1、2.南畝とたばこ屋
付録3.南畝の家族
で、構成されていました。
150点以上にも及ぶ南畝の著作物や貴重な資料が、個人蔵も含めて国内から集められて展示されていました。
売店で販売されていた本展の図録『没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界』は、展示物の画像が余すところなく収載されていて、大田南畝を知る上で格好の参考書となっています。
2025年の大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」には、大田南畝も登場するのではないかと期待されます。
どんな形で登場し、誰が演じるのか、早くも妄想が膨らみます。
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『あとより恋の責めくれば 御家人大田南畝』(竹田真砂子・集英社文庫)