『極楽征夷大将軍』|垣根涼介 |文藝春秋
2023年5月1日から5月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2023年5月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、文藝春秋から刊行される、垣根涼介さんの長編歴史小説、『極楽征夷大将軍』を紹介します。
動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。(『極楽征夷大将軍』Amazon内容紹介より)
『光秀の定理』や『信長の原理』など独創的な時代小説で、ふだん時代小説を読まない、新たな読者を開拓した著者。
カバー帯に、「やる気なし 使命感なし 執着なし なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?」の衝撃的な文字が並びます。
本書で描くのは、源氏の名門ながら、後醍醐天皇の勅命を受けて挙兵し、鎌倉幕府を倒して、天皇の新政へと導くが、その後、武家政権である室町幕府を開いた足利尊氏です。
吉川英治さんの小説『私本太平記』を原作とする、1991年に放送されたNHK大河ドラマ「太平記」では、真田広之さんが主人公の足利尊氏を演じていました。
本書では、どのように尊氏を捉えて、太平記の人物たちを描くのか、興味津々です。
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『極楽征夷大将軍』(垣根涼介・文藝春秋)
『光秀の定理』(垣根涼介・角川文庫)
『信長の原理 上』(垣根涼介・角川文庫)