『まむし三代記』|木下昌輝|朝日文庫
2023年4月1日から4月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2023年4月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました
今月の注目の一冊は、朝日文庫から刊行される、木下昌輝(きのしたまさき)さんの長編歴史小説『まむし三代記』です。
著者は本作品で、2020年、第9回日本歴史時代作家協会賞作品賞と第26回中山義秀文学賞をW受賞しました。
法蓮房は国盗りの大望を秘めて美濃を目指し、土岐家内でのし上がる。
野望を受け継いだ2代はついに美濃国を奪取し、斎藤道三を名乗る。
親子2代にわたる国盗りの大いなる武器「国滅ぼし」とは? その真実に行き着いた3代目の義龍の決断とは――
従来の戦国史を根底から覆す瞠目の長篇時代小説弘治二年(一五五六)、四月二十日―― 国さえもたやすく滅ぼしてしまうものが、大量に発見された。美濃の地においてである。 奇しくも、この日、ひとりの男が討たれた。
まむしと恐れられた斎藤道三である。 国を滅しかねないものを集め、秘蔵した張本人だ。より正確を期すなら、道三とその父親である。
道三の父親は美濃へわたり、異例の出世をとげる。無論のこと、その影には国を滅ぼしかねない凶器の存在があった。道三と法蓮房の親子二代の国盗りに、この凶器が暗躍する。いつしか、道三と法蓮房らは凶器のことをこう呼ぶようになった。 国滅ぼし――と。(『まむし三代記』(朝日文庫)Amazonの内容紹介より)
斎藤道三を描いた歴史時代小説には、古くは司馬遼太郎さんの『国盗り物語』が、近年でも宮本昌孝さんの『ふたり道三』がありあり、いずれも物語性豊かな作品となっています。
それらは、稀代の物語作家が手掛けただけでなく、道三の前半生に謎が多かったことにもよります。
さて、本書では、現代を代表するストーリーテラーの一人である著者が新たな視点から道三に迫まり、「国滅ぼし」という国盗りの武器の謎を解き明かしていきます。
波乱に満ちた物語は、先行する2作品に勝ると劣らない面白さで、最後まで読者を惹きつけます。
★単行本『まむし三代記』のレビュー
■Amazon.co.jp
『まむし三代記』(木下昌輝・朝日文庫)
『国盗り物語(一) 』(司馬遼太郎・新潮文庫)
『ふたり道三(上)』(宮本昌孝・祥伝社文庫)