『家康を愛した女たち』|植松三十里|集英社文庫
植松三十里(うえまつみどり)さんの長編時代小説、『家康を愛した女たち』(集英社文庫)をご恵贈いただきました。
吉川永青さんの『家康が最も恐れた男たち』に続く、集英社文庫の「家康小説」の第二弾は、植松三十里さんの『家康を愛した女たち』が刊行されました。
前者は、家康のライバルたちを通して家康の実像に迫る連作集ですが、本書は家康の周りで彼を愛し大きな影響を与えた女たちを通して女性視点で戦国の世を活写した歴史小説です。
人質暮らしの幼い家康を養育した祖母華陽院。父に離縁され、赤子の頃別れた母於大の方。正室となり息子を生んだが、無残な最期を迎えた築山殿。関ヶ原の戦いまでの戦乱を共に生き抜き、盟友となった北政所。側室となり、豊臣方との交渉役を務めた阿茶局。徳川と天皇家を結ぶ役目を背負った孫の和子。世継ぎ決定の為、駿府に向かった家康の乳母春日局――。「私」だけが知る真の姿を描く家康小説7編。
(『家康を愛した女たち』カバー裏の説明文より)
家康を愛した女たちに描かれているのは、正室築山殿や側室阿茶局ばかりか、祖母の華陽院や母於大の方。そして、戦国の時代を終わらせて泰平の世の礎を築いた盟友である北政所、さらには、家康の意を汲んで天皇家に嫁いだ孫の和子、孫で三代将軍家光の乳母・春日局まで、七人の女たちの目線で語られる家康とは……。
著者ならではの切り口で興趣の尽きない題材で、2023年の大河ドラマが待ち遠しくなる一冊。
本書執筆にまつわるエピソードとして、「有吉佐和子の『悪女について』みたいなのを書きたい」という作者の意図を「note」に書かれていました。
久々の新刊で喜んでいたら、来月も新刊を刊行されるそうで、ファンとして楽しみが増すばかりです。
家康を愛した女たち
植松三十里
集英社 集英社文庫
2022年11月25日第1刷
カバーデザイン:木村典子(Balcony)
イラストレーション:ヤマモトマサアキ
●目次
第一章 華陽院
第二章 築山殿
第三章 於大の方
第四章 北政所
第五章 阿茶局
第六章 徳川和子
第七章 春日局
解説 西條奈加
本文289ページ
書き下ろし。
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『家康を愛した女たち』(植松三十里・集英社文庫)
『家康が最も恐れた男たち』(吉川永青・集英社文庫)