『海の百万石 銭屋の女たち』|平野他美|文芸社文庫
平野他美(ひらのたみ)さんの文庫書き下ろし時代小説、『海の百万石 銭屋の女たち』(文芸社文庫)の新刊見本をご恵贈いただきました。
本書は、2022年、第6回草思社・文芸社W出版賞文芸社金賞を受賞した作品です。
江戸後期に加賀で回船問屋として成功した豪商銭屋五兵衛と、一家を支えた四代の女たちを描いた長編歴史時代小説です。
江戸後期、回船問屋として加賀国で名を揚げた豪商・銭屋五兵衛。代々続いた家業に加え、志高く海運業を興した五兵衛は、功を成して加賀藩の財政を度々救う。ところが晩年、藩や地域のためと進めていた潟湖の埋め立て工事で冤罪をかけられ、無念の最期を遂げた。隆盛期には「海の百万石」と称された銭屋五兵衛と一家を支え、共に生きた女たち――母のやす、妻のまさ、長男の嫁のきわ、孫娘の千賀。一家への謂れなき罪を背負い、銭屋再建のためそれぞれが必死に尽力した姿を、4代の女たちの視点から描いた壮大な歴史ロマン。
(カバー帯の説明文より)
銭屋五兵衛を描いた歴史時代小説には、童門冬二さんの『全一冊 銭屋五兵衛と冒険者たち』(『海の街道―銭屋五兵衛と冒険者たち』を改題したもの)や、南原幹雄さんの『銭五の海』があります。
ここしばらく取り上げられなった人物であり、かつ、本書では五兵衛の母や妻、嫁、孫娘といった女たちを通じて、銭屋を描いている点でも注目したい作品です。
著者はプロフィールによると、石川県金沢市出身で、金沢で三代続く生菓子店に嫁ぎおかみさんをつとめているそう。地元の同人誌「櫻坂」に参加して、歴史小説の腕を磨いておられます。
新しい作者との出会いは楽しいものです。
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海の百万石 銭屋の女たち
平野他美
文芸社・文芸社文庫
2022年10月15日初版第一刷発行
カバーイラスト:はぎのたえこ
カバーデザイン:谷井淳一
●目次
序章
やす
まさ
きわと千賀
終章
本文250ページ
文庫書き下ろし。
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『海の百万石 銭屋の女たち』(平野他美・文芸社文庫)
『全一冊 銭屋五兵衛と冒険者たち』(童門冬二・集英社文庫)
『銭五の海(上)』(南原幹雄・新潮文庫)