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家康は願人坊主だった!? 家康影武者説を描いた長編と短編

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『異伝 徳川家康 三百年のベール』|南條範夫|学研M文庫

『異伝 徳川家康 三百年のベール』2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の予習用に、最近、徳川家康の登場する歴史時代小説を読み始めています。

そんな中で偶然見つけたのが、南條範夫さんの『異伝 徳川家康 三百年のベール』(学研M文庫)です。

家康影武者説というと、隆慶一郎さんの『影武者徳川家康』が有名ですが、南條さんはそれよりも30年も前に、「オール讀物」昭和33年12月号に、簓者(ささらもの)出身の世良田次郎三郎元信が松平広忠の嫡男松平元康と入れ替わり、家康になったとする短編小説「願人坊主家康」を発表しました。
この「願人坊主家康」は、時代ミステリーのアンソロジー『剣が謎を斬る』に収録され読みことができます。

「願人坊主家康」の文末で、著者は、この奇想を、明治35年に刊行された静岡県庁の役人、村岡素一郎の『史疑 徳川家康事蹟』に得たと明かしています。

驚天動地の家康影武者説を発表した村岡は、後藤庄三郎もしくは林道春(羅山)が残したという「駿府政事録」にある記述に着目し、家康研究を続けて、、『史疑』にまとめて刊行しました。

『異伝 徳川家康 三百年のベール』は、村岡をモデルとした主人公平岡素一郎が、独力で三百年のベールを剥がし、大胆な推理で家康の秘密に迫る歴史ミステリーです。
明治後半という時代を背景に、自分の調べた家康論を実証していく姿がスリリングで惹かれました。

異伝 徳川家康 三百年のベール

南條範夫
学習研究社・学研M文庫
2002年2月22日発行

カバー画:丸尾末広
カバーデザイン:堀立明
ブックデザイン:中谷匡児+福井なおと

●目次
売値五貫文
素朴な疑問
奇怪な遊行僧
暗澹たる事件
不当な弾圧
家康出生の秘密
三百年の余弊
世良田元信活躍
徳川家康の出現
抹殺博士
犠牲者
剥がれたベール
史疑一巻
あとがき

本文276ページ

『三百年のベール』(批評社・1986年刊行)を改題・文庫化したもの

■Amazon.co.jp
『異伝 徳川家康 三百年のベール』(南條範夫・学研M文庫)
『時代ミステリー傑作選 剣が謎を斬る』(ミステリー文学資料館編・光文社文庫)
『影武者徳川家康(上)』隆慶一郎・新潮文庫)

南條範夫|時代小説ガイド
南條範夫|なんじょうのりお(南条範夫)|時代小説・作家 1908年11月14日 - 2004年10月30日。 東京銀座に生まれる。東京帝国大学法学部卒業。 1953年、『子守の殿』で第1回オール讀物新人杯受賞。 1956年、『燈台鬼』で直木...