『蹴れ、彦五郎』|今村翔吾|祥伝社
2022年7月1日から7月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2022年7月7月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、祥伝社から刊行される、今村翔吾さんの短編集『蹴れ、彦五郎』を紹介します。
桶狭間での父義元の急死を受け、 彦五郎氏真は駿河今川氏の当主となった。
だが、落日はすぐそこに――家臣だった松平元康(徳川家康)は離反、甲斐武田からも圧迫され、 正室である相模北条氏の娘・早川殿とともに転々と落ちゆく日々。そんな中にも救いはあった。氏真は近江の寺で出会った童子たちの師となり、ある希望を抱く。しかし無常にも、天下をその掌中に収めつつあった織田信長は、氏真と心通わせた子らを叛乱の縁者として殺してしまう。蹴鞠の名手であり、歌をこよなく愛した男が見せた最後の心意地とは…… ( 「蹴れ、彦五郎」)
小田原征伐で奮戦した北条氏規を描いた「狐の城」、信玄が廃嫡した武田義信の苦悩の物語「晴れのち月」、江戸を築いた太田道灌を綴る「瞬きの城」など、珠玉の八編を収録。(『蹴れ、彦五郎』Amazon内容紹介より)
2021年に『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞後、文字通り、100日間におよぶ全国行脚のキャンペーンを展開している著者。そのかたわら、凄まじい勢いで新刊もリリースされています。どうやって創作の時間を作っているか聞いてみたいですし、過労により体調を崩されないかと心配もしております。
著者のプロフィールを見ていると、2016年に「蹴れ、彦五郎」で第19回伊豆文学賞最優秀賞、同年、「狐の城」で第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞とあります。
作家として第一歩を踏み出すことになったこの2作について、どんな作品なんだろうか、興味津々でとても気になっていました。
彦五郎って誰?と思っていたところ、今川義元の嫡男で蹴鞠の名手といわれている氏真であることがわかりました。
本書は、初期の2作品を含む短編作品集。他の収録作も含めて、ファンとしてぜひ押さえておきたい一冊です。
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『蹴れ、彦五郎』(今村翔吾・祥伝社)
『塞王の楯』(今村翔吾・集英社)