『サライ 2022年7月号』|小学館
シニア世代のライフスタイル提案情報誌、『サライ 2022年7月号』(小学館)を紹介します。
普段はなかなか手に取ることがない雑誌ですが、7月号の「時代小説」は生涯の友、という特集タイトルのうまさに、惹かれて入手しました。
『サライ』7月号の大特集は 「『時代小説』は生涯の友」 。
来年、生誕100年を迎える「司馬遼太郎」と「池波正太郎」。
作品の舞台をご紹介するほか、
日々刊行される多様なジャンルの中から、
いい作品に巡り会う極意を有識者に聞きます。
特別付録は、mont-bell×サライ「ファスナー式トラベル・ポーチ」 。
表地には、軽量で丈夫なリップストップナイロンを使用しました。
大小のポケットに分類して収納でき、お出かけにも使いやすいサイズです。
(Amazonの内容紹介文より)
シニア向けの総合情報誌での「時代小説」特集を興味深く読みました。
同じ大正12年(1923年)に生まれたふたりの偉大な作家、司馬遼太郎さんと池波正太郎さん。学年では、1月生まれの池波さんが、8月生まれの司馬さんよりも1学年上です。
太平洋戦争を経験し、1960年に直木賞を受賞したふたり(司馬さんは『梟の城』で第42回、池波さんは『錯乱』で第43回)。
ふたりの大作家の「100年史」を見ると、その共通点に気付かされます。
司馬さんの小説『峠』を原作とした映画「峠 最後のサムライ」のまもなく(2022年6月17日)公開されることもあり、舞台となる越後・長岡と小千谷を訪ねています。
池波正太郎さんの『鬼平犯科帳』の舞台を歩く記事も必読です。
東京スリバチ学会会長の皆川典久さんが案内する物語の舞台、長谷川平蔵の本宅があった目白台から程近い雑司ヶ谷を出発点に、都電荒川線の面影橋までのコース。
谷間や窪地、暗渠といった地形にも注目しながらの散歩はぜひ試してみたいコースです。
文芸誌ではなく、一般情報誌での時代小説特集は、切り口も新鮮でした。
普通の人である雑誌の読者がどんな時代小説作家を知っていて、どんなふうに時代小説を捉えているのかが、わかりました。
68歳にして『看取り医 独庵』で時代小説デビューした、根津潤太郎さん(米山公啓さん)へのインタビューも面白いです。
時代小説とは関係ありませんが、特別付録で、mont-bellのファスナー式トラベル・ポーチが付いていました。各種カードや列車の切符、歴史資料館のチケットなどが収納できて旅行に役立ちそうです。
サライ 2022年7月号
小学館
2022年6月10日発行・発売
●目次(一部抜粋)
大特集
生誕100年を迎える、司馬遼太郎・池波正太郎かあ令和の気鋭作家まで百花繚乱!
「時代小説」は生涯の友
第1部 「生誕100年」を機に改めて読む、観る、訪ねる
司馬遼太郎と池波正太郎を旅する
解説 縄田一男さん(文芸評論家)
二人の大作家の「100年史」
名作の舞台を歩く(1) 越後
司馬遼太郎『峠』
河井継之助記念館/長岡城址/慈眼寺/朝日山古戦場/居食亭・東忠ほか
名作の舞台を歩く(2) 江戸
池波正太郎『鬼平犯科帳』
雑司ヶ谷/音羽/目白台/高田
名作の舞台を歩く(3) 駿河
池波正太郎『仕掛人・藤枝梅安』
神明神社/正定寺/紅家・紅粉屋久右衛門
第2部
作家、脳科学者、文芸評論家、書店員、映像プロデューサーが語る多様な“愉しみ方”
いま読むべき心躍る時代小説34選
潮流 ふたりの目利きが“売れ筋”から読み解く
「時代小説」に何が起きているのか
解説 縄田一男さん(文芸評論家)/内田俊明さん(八重洲ブックセンター営業部マネージャー)
ジャンル別「注目の作家」17人17作
書き手の愉しみ 根津潤太郎さん(作家、神経内科医)
読み手の愉しみ 中野信子さん(脳科学者)
作り手の愉しみ 宮川朋之さん(日本映画放送編成制作局局長)
いま読むべき時代小説10選
大特集のページ数:40ページ
■Amazon.co.jp
『サライ 2022年7月号』(小学館)
『看取り医 独庵』(根津潤太郎・小学館文庫)