『あるじなしとて』|天津佳之|PHP研究所
2022年6月1日から6月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2022年6月6月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、PHP研究所から刊行される、天津佳之さんの『あるじなしとて』を紹介します。
著者は、2021年に、鎌倉末期から南北朝時代へ移る混沌の時代を舞台に、足利尊氏、楠木正成、後醍醐天皇の三人を描いた『利生の人 尊氏と正成』で第12回日経小説大賞を受賞してデビュー。受賞後第1作に、古代に題材を求めた『和らぎの国 小説・推古天皇』を発表しています。
文人として名を成し、順調に出世していた菅原道真は、讃岐守という意に反した除目を受け、仁和二年(886)、自暴自棄となりながら海を渡って任国へ向かう。しかし、都にいては見えてこなかった律令体制の崩壊を悟った道真は、この地を“浄土”にしようと治水を行なった空海の想いを知ると共に、郡司の家の出でありながらその立場を捨てた男と出会うことで、真の政治家への道を歩み出す。
(『あるじなしとて』Amazon内容紹介より)
第3作になる今回は、大宰府で祀られ、天満天神様として現在も篤い信仰を集める菅原道真の生涯を描いています。
学者の家系であり、中流貴族出身ながら、順調に出世していた菅原道真は、讃岐に左遷されてしまいます。当初は左遷した者たちを恨み京に戻りたがっていましたが、かの地で政治家として大事なことに気づき、学んでいきます。
「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな」という歌に込められた熱い想いとは?
“学問の神様”ではなく“政治家”としての菅原道真に光を当てた長編小説です。
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『あるじなしとて』(天津佳之・PHP研究所)
『利生の人』(天津佳之・日本経済新聞出版社)
『和らぎの国 小説・推古天皇』(天津佳之・日本経済新聞出版社)