『うかれ堂騒動記 恋のかわら版』|吉森大祐|小学館文庫
2022年5月1日から5月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2022年5月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました
今回は、吉森大祐さんの、文庫書き下ろし時代小説、『うかれ堂騒動記 恋のかわら版』(小学館文庫)を取り上げてみました。
17歳の一穂は、黒目がちの目がくりくりと大きい。なのに、たいそうなお転婆。せっかくの整った顔立ちが台無しだ。その一穂、事情があって、かわら版屋〈うかれ堂〉を営むおじさんの市右衛門と一緒に働いている。今日も今日とて、工房を構える日本橋の〈うかれ長屋〉でご飯を食べていると、北町奉行所の同心・吉田主計が様子をうかがいにやって来た。
一穂と幼馴染の吉田は、事件のネタを〈うかれ堂〉のために漏らしてくれているのだ。そのかわりに一穂と市右衛門は、江戸市中で見聞きした物事を報告し、時には探索を手伝っている。十手こそ渡されてはいないが、吉田とは持ちつ持たれつの間柄というわけだ。
そんな吉田が持って来たのは、新任与力の水野左衛門が一穂と直に話してみたいという、呆れた私事。ところがいざ会ってみると、なぜだか、北町奉行の小田切土佐守と寺社奉行の青山下野守の政争につながるネタを追う羽目に……。挙句の果てには、とんでもない大騒動になって!?
(『うかれ堂騒動記 恋のかわら版』(小学館文庫)Amazonの内容紹介より)
新感覚の幕末小説『幕末ダウンタウン』や江戸落とし噺の元祖・三笑亭可楽の半生を描いた『ぴりりと可楽!』で注目の気鋭の作家による、初の文庫書き下ろし作品です。
元気いっぱいのお転婆・一穂の珍活躍に笑って、がさつなところがあるおじさんの市右衛門が時に見せる細やかな心配りにホロリと……。ドタバタありの人情時代小説で元気をもらいたいと思います。
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『うかれ堂騒動記 恋のかわら版』(吉森大祐・小学館文庫)
『幕末ダウンタウン』(吉森大祐・講談社)
『ぴりりと可楽!』(吉森大祐・講談社)