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徳川綱豊(後の六代将軍家宣)が悪を成敗する、決定版始動

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『浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣』|佐々木裕一|双葉文庫

浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣佐々木裕一の時代小説、『浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣』(双葉文庫)をご恵贈いただきました。

双葉文庫では、2018年11月より「新・浪人若さま 新見左近」シリーズを刊行開始し、2022年1月に本書と同時刊行の『新・浪人若さま 新見左近(9) 無念の一太刀』で、累計100万部を突破する人気シリーズとなっています。

2010年より、コスミック・時代文庫で刊行されてきた「浪人若さま 新見左近」シリーズ全14巻も、装いも新たに、決定版として双葉文庫から刊行を開始しました。
「新・浪人若さま」の新刊と合わせて、18カ月連続刊行という展開は、ファンにはうれしい限りです。

甲府藩主の徳川綱豊は次期将軍の座をめぐる争いに巻き込まれるのを嫌い、病と称して藩邸に籠る体を装いながら、谷中のぼろ屋敷で一人暮らし。浪人新見左近を名乗り、将軍家に伝わる秘剣、葵一刀流で悪を成敗しつつ、自由を謳歌するこの男の前途は、激動の運命が待ち構えていた――。剣戟、恋、人情、そして勧善懲悪。時代小説のど真ん中を行く、最強の傑作王道シリーズ、決定版として、双葉文庫から堂々刊行スタート!

(『浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣』カバー裏の紹介より)

主人公の新見左近は、甲府藩主徳川綱豊(後の六代将軍徳川家宣)が市井での名乗りに使う名前です。
物語の始まりは、左近、二十二歳のことで、貞享二年(1685)でしょうか。

四代将軍徳川家綱の弟で、甲府藩主徳川綱重の子として生まれましたが、綱重が正室を娶る前の誕生であったため、国家老の新見正信のもとへ養子に出されて育てられました。ところが、父綱重の正室が男児に恵まれないまま亡くなったため、九歳のときに世継ぎとして甲府徳川家に呼び戻されました。

家綱に世継ぎがなく、五代将軍を誰にするかをめぐって、家綱の弟、綱吉が最有力ながら、綱豊の名も挙がり、幕府内で争いが起きていました。綱豊は、もともと将軍職に就く気がなく、早々に辞退しようとしましたが、将軍家綱がそれを許しませんでした。

そこで養父でありながら重臣でもある新見正信に相談して、病気と称して屋敷内に閉じ籠る体を取りながらも、暗殺を警戒して、新見左近と名を変え密かに谷中のぼろ屋敷で一人で暮らしていました。

「江戸の用心棒、とでも言っておこうか」
 十人の賊が一斉に刀を抜いた。
「殺生は好かぬ。が、これまでお前たちに殺された者にかわって、この新見左近が成敗してくれよう」
 左近は宝刀安綱を抜き、ゆっくりと正眼に構えた。
 
(『浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣』P.77より)

その夜、かかわりのある商家の娘を殺された左近は、江戸の町を震撼させる凶賊、土蜘蛛組を、本町の大店で待ち構え、将軍家に伝わる宝刀安綱にて成敗をすることに。

市井で暮らし江戸市中を出歩く左近は、神田明神で軽業の見世物をしながら敵討ちをする姉妹を助けたり、何者かにかどわかされた娘の行方を追う老剣客と知り合ったり、お節介にも厄介ごとに首を突っ込んでいきます。

その一方で、次期将軍職をめぐる争いで、甲賀の忍者刺客に命を狙われたり、身の回りにはいつも危険がいっぱいです。

将軍家に伝わる葵一刀流の秘剣で、悪を成敗する「浪人若さま 新見左近」シリーズが始まりました。お互いに思い合っている、亡くなった許婚のお峰の妹、お琴と左近の恋の行方も気になります。
しばらくの間、毎月、「浪人若さま」を楽しめそうです。

浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣

佐々木裕一
双葉社、双葉文庫
2022年1月16日第1刷発行

カバーデザイン:長田年伸
カバーイラストレーション:室谷雅子

●目次
第一話 土蜘蛛組
第二話 闇の剣
第三話 老剣客
第四話 刺客

本文296ページ

本書は2010年9月にコスミック・時代文庫より刊行された作品を加筆訂正したもの。

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『浪人若さま 新見左近 決定版(1) 闇の剣』(佐々木裕一・双葉文庫)
『新・浪人若さま 新見左近(9) 無念の一太刀』(佐々木裕一・双葉文庫)

佐々木裕一|時代小説ガイド
佐々木裕一|ささきゆういち|時代小説・作家 1967年、広島県生まれ。 2010年より、活躍の舞台を時代小説に移行し、「浪人若さま新見左近」シリーズなどを発表。 時代小説SHOW 投稿記事 「2018年7月の新刊 下」をアップ|『身代わり若...