『塞王の楯』|今村翔吾|集英社
2021年10月1日から10月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年10月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、集英社から刊行される、今村翔吾さんの『塞王の楯』を紹介します。
越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。
(『塞王の楯』Amazon内容紹介より)
昔、漢文の授業で習って以来、「矛盾」の起源となった『戦国策』の「矛」と「盾」の話がずっと気に入っています。
楚の国の盾と矛を売る商人が、どんなものも通さない堅牢な盾と、どんなものも突き通す鋭利な矛を、それぞれ誉めていたところ、ある人から、あなたの矛であなたの盾を突き通したらどうなるか、尋ねられて、答えることができなかったというお話。
本書は、どんな攻めをも、はね返す石垣である「最強の楯」と、どんな守りをも、打ち破る鉄砲、すなわち「至高の矛」の対決を描いた戦国小説です。
大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、作者は、この宿命の対決に、どんな答えを用意しているのでしょうか。
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『塞王の楯』(今村翔吾・集英社)