『仇討検校』|乾緑郎|新潮文庫
2021年8月21日から8月31日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年8月下旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回は、乾緑郎(いぬいろくろう)さんの『仇討検校』(新潮文庫)を取り上げてみました。
『忍び外伝』で第2回朝日時代小説大賞、『完全なる首長竜の日』で第9回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『機巧のイヴ』シリーズが人気の作家です。
鍼灸道を確立し、五代将軍綱吉の御殿医にまで登りつめた鍼聖・杉山検校。じつは、贋者だった!? 一度でも人を斬り殺したものは、血塗られた仇討の連鎖からは逃れられないのか。怨念の呪縛に囚われ、自らを偽り、仕込み杖を携え盲目を装い、因果の大渦から逃げ続けた恩讐の彼方に、果たしてその目が見たものは――。目眩くほど壮絶な八十五年の生涯を描いた、一気読み必至の時代サスペンス。『見返り検校』改題。
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(『仇討検校 (新潮文庫)』Amazonの内容紹介より)
本書は、鍼を管に通して打つ施術法である管鍼法を創始したと伝えられる、江戸時代の鍼灸師、杉山和一(杉山検校)を主人公にした、時代エンターテインメント小説です。
小説家で鍼灸師でもある著者ならではの、臨場感のある施術シーンと一気読み必至のストーリーテリングが楽しめます。
杉山和一は、献身的な治療で病気を治した徳川綱吉から「(ほうびに)欲しい物は何か」と問われたと、「一つでよいから目が欲しい」と答え、本所一ツ目に広大な土地を下賜された(その土地は、関東の視覚障害者を統制する機関が置かれ、惣録屋敷と呼ばれました)というエピソードが知られています。
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『仇討検校』(乾緑郎・新潮文庫)
『忍び外伝』(乾緑郎・朝日文庫)
『完全なる首長竜の日』(乾緑郎・宝島社文庫)
『機巧のイヴ』(乾緑郎・新潮文庫)