『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』|周防柳|中央公論新社
2021年7月1日から7月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年7月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、中央公論新社から刊行される、周防柳(すおうやなぎ)さんの『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』を紹介します。
平安時代の最高権力者・藤原道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、歌壇ではそれなりの実力を発揮しているものの、公家の出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、病由来の難聴を克服し、侍従時代の同僚で親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇でめきめきと頭角を現す。鎌倉幕府に押され気味の朝廷の権威回復を狙う後鳥羽上皇は、そんな定家に、三代将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため「敷島の道(和歌)」を指南せよと命ずる。後鳥羽の野心は肥大し、ついには倒幕の兵を挙げんとするが……。
知らぬ人のいない「小倉百人一首」には、なぜあの100首が選ばれたのか? 同じく藤原定家選の「百人秀歌」より1首少なく3首だけ異なる理由とは――「承久の乱」前後の史実をきらびやかに描きながら、その謎を解き明かす。
(『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』Amazon内容紹介より)
「小倉百人一首」に選出された百首を諳んじることはできませんが、歌の作者とその世界には興味津々です。
本書で激しく興味を引かれるのは、選者である藤原定家と、鎌倉幕府倒幕を企てる後鳥羽上皇、三代将軍源実朝の三者をめぐる物語が、「百人一首」を題材とした歴史ミステリーとなっている点です。
和歌をモチーフにした著者の作品に、古今和歌集の選者紀貫之と六歌仙たちとの関わりを描いた長編時代小説『逢坂の六人』があります。
この機会に、ちゃんとお勉強したいと思います。
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『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』(周防柳・中央公論新社)
『逢坂の六人』(周防柳・集英社文庫)