『夏の坂道』|村木嵐|潮文庫
2021年7月1日から7月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年7月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回は、村木嵐(むらきらん)さんの長編歴史小説、『夏の坂道』(潮文庫)を取り上げてみました。
帝国憲法が発布された年に生まれた南原繁は、やがて一高で新渡戸稲造、内村鑑三らの師や生涯の親友と出会い、学問とキリスト教の道へ。
次第に軍国化してゆく日本は、政治学徒となった南原の人生や学問の砦・東京帝国大学にも暗い影を落とし始める。
言論や研究の自由が脅かされ、教え子が次々と戦地へと送られる苦悩のなか、南原は絶望のなかで「最高善」を目指して格闘し続けるのだった。(『夏の坂道 (潮文庫)』Amazonの内容紹介より)
著者は、2010年、天正遣欧少年使節のひとり、千々石ミゲルの生涯を描いた『マルガリータ』で第17回松本清張賞を受賞してデビューしました。
以降も『雪に咲く』、『天下取』など、歴史時代小説を発表されています。
本書は、軍国化していく暗い時代に学問を守り抜いた南原繁の生涯を描いた長編小説です。
明治、大正、昭和の激動の時代を生き抜いた一人の男を、歴史小説の手法で描写していきます。
アカデミズムが軽んじられる風潮が見られる今だからこそ、読んでみたい一冊です。
文庫●2021年7月上旬の新刊
時代小説●文庫新刊情報|2021年7月上旬の新刊(1日→10日) 2021年7月1日から7月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。 →...
■Amazon.co.jp
『夏の坂道』(村木嵐・潮文庫)
『マルガリータ』Kindle版(村木嵐・文春文庫)
『雪に咲く』(村木嵐・PHP文芸文庫)
『天下取』(村木嵐・光文社)
村木嵐|時代小説ガイド
村木嵐|むらきらん|時代小説・作家 1967年、京都府京都市生まれ。京都大学法学部卒業。 会社勤務を経て1995年より司馬遼太郎家の家事手伝いとなる。後に司馬遼太郎記念財団理事長で司馬夫人である福田みどりの個人秘書を務める。 2010年、『...