『沖の権左』|志坂圭|ディスカヴァー文庫
2021年6月21日から6月30日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年6月下旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回は、志坂圭(しざかけい)さんの長編時代小説、『沖の権左(ごんざ)』(ディスカヴァー文庫)を取り上げてみました。
著者は、2014年に『滔々と紅』で、全国の書店員が選ぶエンタメ小説の新人賞、第1回本のサナギ賞大賞を受賞し、作家デビューしました。
同作は、苦界、吉原のしきたりに抗いながらも、手練手管を駆使して人気花魁へと成長する遊女を描いたエンタメ小説です。
本書は受賞後第1作で、待望の文庫化となります。
勝山に生まれた少年、吾一(ごいち)は、父、重吉(じゅうきち)のように鯨組の頭領を目指していた。
だが不漁に悩んだ重吉は村の掟に反し、巨大鯨「権左(ごんざ)」に挑むも仲間に多大な犠牲を出し、自らも命を落とす。
父の不手際により村を追いだされた吾一は江戸で鯨とは無縁の日々を過ごすも、いつまでも権左を忘れることができない。
しかしある日、偶然にも吾一は権左を取る秘策を思いつく。だがそれは、幕府にご法度とされている手段だった……。(『沖の権左 (ディスカヴァー文庫)』Amazonの内容紹介より)
父と同じように鯨組の頭領を目指した吾一は、父の不手際により村八分にあった末に村を追われ、江戸で鯨とは無縁の仕事に就きます。
しかし、父の命を奪った巨鯨権左のことが忘れられません。
そして、手出しを禁じられた権左に無謀にも挑みます。
少年の成長と、巨鯨との闘いを描いた、エンタメ時代小説です。
著者の作品では、元花魁の七尾姉さんが、吉原で起こった殺人事件の謎を解く、『姉さま河岸見世相談処』もおすすめの一冊です。
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『滔々と紅』(志坂圭・ディスカヴァー文庫)
『沖の権左』(志坂圭・ディスカヴァー文庫)
『姉さま河岸見世相談処』(志坂圭・ハヤカワ時代ミステリ文庫)