『東京人2021年6月号』|都市出版株式会社
都市・文化・風俗・建築・文学・交通・地形・街並みなどあらゆるジャンルをテーマに、東京の魅力を模索する総合誌、『東京人2021年6月号』(都市出版株式会社)を入手しました。
今号では、探偵小説に描かれた、ミステリアスな追憶の東京と題して、特集「江戸東京探偵散歩」地図と写真で旅する』が90ページ近くにわたって掲載された、探偵小説ファンにとっては保存版ともいうべきコンテンツになっています。
「東京」という都市が最も丹念に記録されている文学は何か――。
その答えのひとつが「探偵小説」ではないでしょうか。
明智小五郎、金田一耕助、長谷川平蔵、中禅寺秋彦……そしてあのシャーロック・ホームズも東京に!? 江戸から昭和、そして令和まで――江戸東京を舞台に数々の難事件を解決してきた名探偵たちの足跡を、地図と写真で辿ります。作家逢坂剛さん手製の資料ノートも特別公開!
(「東京人」サイトの紹介文より)
A
江戸を舞台にした捕物帳では、江戸の町並みや風物などが丁寧に描かれていることが少なくありません。謎解きや主人公の活躍とともに魅力の一つになっています。
昭和から平成、令和まで、その後の時代の東京を舞台にした「探偵小説」では、その時代ごとの東京の町が作品の中に丹念に切り取られています。
特集では、名探偵たちの足跡を地図(切絵図や古地図)と写真で辿ります。
作品の世界がよみがえるとともに、古き良き時代へのノスタルジーが湧いてきます。
(前略)真っ当な生活を送る人は目に見えない大都市・江戸のアンダーグラウンドを彷徨する伊之助は、ホームグラウンドの本所を遠く離れ「上野不忍ノ池の横道を駆け抜けて、根津権現前」にある「宮永町、門前町と娼家が軒をならべている」私娼窟まで足をのばしていた。
(『東京人2021年6月号』「切絵図で歩く江戸の探偵。」末國善己・文 P.18より)
筆者の末國さんは、藤沢周平さんの『消えた女――彫師伊之助捕物覚え』を取り上げ、元岡っ引きで版木彫り職人となった伊之助が失踪事件の手がかりを求めて江戸市中を歩きまわる場面を紹介しています。
二十年くらい前に読んだきりで、今たまらなく読みたくなくなりました。
探偵小説と地図好きにはずっと見ていたくなる、探偵小説が読んでみたくなる、特集です。
東京人2021年6月号
都市出版株式会社
2021年5月1日発売
表紙:黄金仮面を手に持つ江戸川乱歩と浅草十二階
(人形製作、撮影・石塚公昭)
●目次
江戸東京探偵マップ(絵、地図・YOUCHAN)
特集 江戸東京探偵散歩 地図と写真で旅する(地図監修・末國善己)
切絵図で歩く江戸の探偵(文・末國善己)
名探偵たちが闊歩した 帝都東京→戦後東京(文・日下三蔵 人形製作、撮影・石塚公昭)
ミステリで読む都市東京(文・川本三郎)
対談 逢坂剛×川本三郎
「逢坂剛さん手製の資料ノートがすごかった」(文・長瀬海 写真・泉大悟)
エリア別探偵散歩(文・松坂健、新保博久)
銀座、浅草、西東京、新宿、中野、池袋、神田、、神保町、東京下町
海外ミステリに描かれたTOKYO(文・杉江松恋)
令和の探偵像(文・村上貴史)
探偵小説と“風土”について(文・嵩平何)
翻案、パスティーシュ、パロディ シャーロック・ホームズが東京人だった頃(文・北原尚彦)
以下、連載(省略)
本文145ページ
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『東京人2021年6月号』(都市出版株式会社)