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家康の信任が厚い、初代北町奉行米津勘兵衛の捕物始め

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『初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥』|岩室忍|祥伝社文庫

初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥岩室忍(いわむろしのぶ)さんの長編時代小説、『初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥(げんげつのすい)』(祥伝社文庫)を入手しました。

新しい視点から織田信長を描いた歴史小説『信長の軍師』シリーズで人気の著者による、江戸創成期を舞台にした、時代小説です。

米津勘兵衛田政(よねづかんべえただまさ)は、三河国碧海郡米津村に生まれ、少年のころから徳川家康に仕え、その後徳川秀忠のお使番をつとめた実在の人物です。

徳川幕府開府の翌年、三河以来の譜代の臣米津勘兵衛は、家康直々の命で初代北町奉行に任じられた。戦国の殺気が未だ燻り豊臣恩顧の大名も多い。国情は不安定で、治安は最重要課題だった。得意の槍と剣で悪を断ち、豊かな発想で奉行所の礎を築いていく勘兵衛。次第に悪党から恐れられるが、敵は城内にも――江戸創成期を守り抜いた男を描くかつてない衝撃の捕物帳。

(『初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥』カバー裏の紹介文より)

慶長九年(一六〇四)正月、前年に征夷大将軍を宣下された家康より、米津勘兵衛は初代北町奉行に任じられました。

当時は、幕府はできたばかりで老中はいましたが、大目付も若年寄も目付もなく、町奉行は老中に次ぐ重職でした。

伏見城に登城した家康から江戸はこの国で一番大きな城下になると言われ、「ところで勘兵衛、治安を守るのに何が大事だ?」と問われました。

「上さま、江戸の治安を守るには色々考えることがございますが、まず、大切なことは笠かと存じまする」
「笠?」
 家康が不思議がって正信を見た。何とも珍妙な答えだ。家康の懐刀の正信は満座の中で明らかに戸惑っている。
 
(『初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥』 P.32より)

勘兵衛は、盗賊や野盗など悪人はこそこそ顔を隠して悪さをするので、江戸の中では笠をかぶることを禁じますと答えました。

家康は珍妙なことだが面白いと思い、こういう人を食ったような施策が新しい情かには必要だと思いました。

こうして、初代北町奉行に就いた勘兵衛は、江戸に戻ると秀忠より、呉服橋御門内に町奉行所の屋敷を賜りました。

江戸に幕府が開かれたこの頃、中級、下級役人が大量に必要となり、家康は、徳川家の直参の足軽を同心として取り立て、諸奉行、京都所司代、各城代、大番頭などの支配下に同心を配置しました。

また、奉行を助ける与力には足軽大将を取りたてました。

本書は、北町奉行に就いた勘兵衛を中心に、江戸の治安を守る人々が描かれています。
江戸で大きな盗みをする盗賊との対決もあって、『鬼平犯科帳』のような捕物帳ファンには嬉しい展開もあります。

創成期の江戸の町と幕府の統治体制も描かれていて、新鮮でかつ興味深い読み物にもなっています。
また一つ、楽しみな捕物帳シリーズができました。

初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥

岩室忍
祥伝社・祥伝社文庫
2021年4月20日初版第1刷発行

カバーデザイン:芦澤泰偉
カバー画:歌川広重「名所江戸百景 永代橋佃しま」 提供高橋工房

●目次
第一章 正月の酒
第二章 悪人の顔
第三章 北町奉行
第四章 時蔵
第五章 甲州金
第六章 二千二百三十八両
第七章 八幡宮の斬り合い
第八章 武士の意地
第九章 辻斬り
第十章 追分の清太郎
第十一章 商人宿
第十二章 お文
第十三章 黄牛の登兵衛
第十四章 二代目将軍
第十五章 お家のため
第十六章 常盤橋の決闘
第十七章 七郎

解説 末國善己

本文347ページ

文庫書き下ろし

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『初代北町奉行 米津勘兵衛 弦月の帥』(岩室忍・祥伝社文庫)
『信長の軍師 巻の一 立志編』(岩室忍・祥伝社文庫)

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