『さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや』|坂井希久子|時代小説文庫
2021年3月21日から3月31日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年3月下旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回は、坂井希久子さんの文庫書き下ろし時代小説、『さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや』(時代小説文庫)を取り上げてみました。
夏の暑い盛り、往来を歩いていた只次郎は、いきなり倒れた少女を介抱した。
少女の名は、お花。瘦せた体と歳に似あわぬ拙い言葉に、只次郎は虐待を疑うが……。
少女を救うため、奔走する只次郎。一方、結ばれたはずのお妙との仲は、どこかぎこちなくて!?
やがて、ついにお妙の両親と良人を殺した黒幕と対峙することに……!
只次郎とお妙は過去と今の苦難を乗り越え、幸せを摑むことはできるのか。
温かい林檎煮、納豆、赤鱏の刺身に、心温まる鰹茶漬け。
彩り豊かな料理が心を救う、傑作人情時代小説、最終巻!(『さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや(時代小説文庫)』Amazonの内容紹介より)
小禄旗本の次男坊・林只次郎が客として通う、別嬪女将・お妙のいる居酒屋「ぜんや」を舞台に、彩り豊かな江戸の料理が楽しめる、人情時代小説シリーズの第10巻にして、最終巻となります。
著者は、2008年に「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2017年に『ほかほか蕗ご飯居酒屋ぜんや』で第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞されています。
現代小説での活躍のほか、近年は本シリーズをはじめとして時代小説も精力的に執筆をされています。
気鋭の作家たちの競演が楽しめる、『アンソロジーしずおか 戦国の城』では、曳馬城で奮戦するお田鶴の方を描いた「紅椿」が印象に残っています。
ずっと気になる存在ながら、当サイトでなかなか取り上げる機会がなかった作家の一人。遅ればせながら、第1巻からシリーズ全巻を楽しみたいと思います。
■Amazon.co.jp
『さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや』(坂井希久子・時代小説文庫)(第10巻)
『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(坂井希久子・時代小説文庫)(第1巻)
『アンソロジーしずおか 戦国の城』(芦辺拓・永井紗耶子・谷津矢車・坂井希久子・杉山大二郎・蒲原二郎・彩戸ゆめ・鈴木英治・早見俊・秋山香乃・静岡新聞社)