『三河雑兵心得(五) 砦番仁義』|井原忠政|双葉文庫
2月10日に発売された、井原忠政さんの文庫書き下ろし戦国小説、『三河雑兵心得(五) 砦番仁義』の帯に、「時代小説SHOW」2020年文庫書き下ろし時代小説ベストテン 第1位!の文字を入れていただきました。
ありがとうございます!
双葉文庫の担当編集者に、当サイトのベストテンを目に留めていただいての採用ということで、大英断に感謝しています。
また、『三河雑兵心得(四) 弓組寄騎仁義』の紹介として投稿した記事の一部を、帯の裏面に掲載いただきました。
文庫書き下ろし時代小説のほとんどは、江戸時代を舞台にしていて、戦国時代を描いた作品はきわめて少なく、本書はその点でも貴重です。史実を押さえながら、主人公の活躍を描くのは難しく、痛快ヒーローにしてしまうと、歴史を変えてしまう恐れさえも出てきます。
本書の面白さの一つは、主人公を武将ではなく、軍隊では最下層の雑兵であり足軽に設定したことにあります。しかも、最後には天下を取る徳川軍団に所属させたことによって雑兵から見た家康や徳川家臣団の姿も新鮮に映りました。
戦国ヒーローの条件の一つは、しぶとく生き残ることかもしれません。血だらけの戦場を描きながら、等身大の雑兵たちの汗だく泥まみれの奮闘や野放図な生命力といったものから、ユーモアや哀感が醸し出されていて、癖になる読み味です。「時代小説SHOW]管理人・理流
(『三河雑兵心得(五) 砦番仁義』カバー帯より)
さらに、双葉社の営業担当者のご厚意で、第1位の帯は、『砦番仁義』の発売に合わせて、既刊の4冊についても、帯を変更されるそうです。
そして、文庫に挟み込まれた、チラシにも「時代小説SHOW」第1位の文字が……。
大丈夫か、双葉文庫。
あ~、なんか書店に行くのは恥ずかしいやら、嬉しいやら。
書店の歴史・時代小説コーナーの「三河雑兵心得」シリーズの平積みの前で、ニヤけているオジサンがいたら、私かもしれません。
ご褒美といえば、茂兵衛も第5巻では、ある手柄を挙げて、家康の小姓から褒美の言葉を伝えられました。
茂兵衛は足軽大将に出世し、甲冑を新調します。(→井筒啓之さんの表紙装画を参照)「次に御兜を新調される折には『金色に塗った植田家の定紋の前立を付けよ』のお言葉にございまする」
「金色の前立を?」
「はい」
「しょ、承知仕った。かならず左様に致しまする」(『三河雑兵心得(五) 砦番仁義』P.211より)
黒漆がけの桃形兜には、家康に言われた通り、初めて金色の前立をつけました。
意匠は植田家の定紋である平四ツ目結です。
五年前に小頭へと昇進した際に、茂兵衛自身が、漢字の「田」に似ていることから、田圃と縁の深い農民の出自であることを恥じずに子々孫々忘れないための戒めとして、選んだ家紋でした。
茂兵衛にますます親近感が湧いてきました。
三河雑兵心得(五) 砦番仁義
井原忠政
双葉社 双葉文庫
2021年2月13日第1刷発行
カバーデザイン:高柳雅人
カバーイラストレーション:井筒啓之
●目次
序章 徳川軍議
第一章 反攻、北遠江
第二章 信康という男
第三章 東遠州の山賊
第四章 足軽大賞植田茂兵衛
終章 切腹
本文307ページ
文庫書き下ろし
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『三河雑兵心得(一) 足軽仁義』(井原忠政・双葉文庫)(第1作)
『三河雑兵心得(二) 旗指足軽仁義』(井原忠政・双葉文庫)(第2作)
『三河雑兵心得(三) 足軽小頭仁義』(井原忠政・双葉文庫)(第3作)
『三河雑兵心得(四) 弓組寄騎仁義』(井原忠政・双葉文庫)(第4作)
『三河雑兵心得(五) 砦番仁義』(井原忠政・双葉文庫)(第5作)