『脳科学捜査官 真田夏希 デンジャラス・ゴールド』|鳴神響一|角川文庫
鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし現代ミステリー、『脳科学捜査官 真田夏希 デンジャラス・ゴールド』(角川文庫)をご恵贈いただきました。
本書は、神奈川県警で心理職特別捜査官をつとめる、真田夏希が凶悪な事件に遭遇して活躍する警察小説「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズの第7弾。
第8弾にあたる、『脳科学捜査官 真田夏希 デンジャラス・ゴールド』が、本書と同時に刊行されました。
葉山で大学教授の龍造寺氏の一人娘が誘拐される事件が起きた。捜査本部に招集された心理職特別捜査官の真田夏希は、誘拐された龍造寺ミーナが特殊な能力の持ち主だと汁。ホワイトハッカー大会で優勝するほどの彼女の能力が狙われたのか。犯人からの要求もないまま時間が過ぎるなか、夏希にミーナを知っているという人物が接触してくるが――。シリーズ最大規模の事件を「ゴールド」&「シルバー」で贈る書き下ろし警察小説。
(本書カバー裏紹介より)
婚活中の真田夏希は、今回、警察庁警備局の織田信和理事官や県警刑事部根岸分室長の上杉輝久と同期採用のキャリア官僚の北条直人から夕食に誘われました。
直人から警察大学校時代の三人の想い出を聞き、すっかりと打ち解けました。
夏希の目にはなかなか魅力ある男と思われましたが、連絡先を交換しただけで、次の店に誘われる横浜駅の改札で別れました。
夏希は「かもめ★百合さん」のハンドルネームを持ち、これまでSNSなどを通じて犯人に対してコンタクトを取り、事件解決への手がかりを得てきました。
その「かもめ★百合さん」に対して、波龍という名のバーチャルライバー(Vチューバ―)から、メッセージが送られてきました。動画サイトのチャンネルにコンテンツをアップしたという知らせで、動画サイトの波龍のチャンネルには、かもめ★百合の過去の事件での失態を罵倒した、夏希の古傷をえぐるような不愉快なものでした。
――こんなことをして何が楽しいの? 波龍さん性格悪すぎだよ。もうやめてください。
波龍からはすぐに返信があった。
――おバカなあなたに、たくさんのもっとおバカなファンがついているのがヤなんだよ。
――やめてくれないならこちらにも考えがあります。(『脳科学捜査官 真田夏希 デンジャラス・ゴールド』P.14より)
変質的なバーチャルライバーに悩まされる夏希は、本物の事件、誘拐事案で江の島署にできた指揮本部に呼び出されました。
被害者は龍造寺ミーナで、日本人の父親とエストニア人の母親の間に生まれた、年齢は十三歳で私立校の中等部一年生。逗子市の高級住宅地に、大学教授で資産家の父と二人家族。国際的なバイオリニストだった母親は四年前に亡くなっています。
モデルか女優にしたいような美少女で、ジュニア対象としたサイバーセキュリティーのコンテストで優勝した、日本一のホワイトハッカーでもあります。
ミーナは、早朝、母親の墓参りに出かけた霊園近くで何者かに誘拐されました。
夏希は、初めて遭遇した誘拐事案、しかも犯人から接触がなく、手がかりがつかめません。
犯人の何の目的でミーナを誘拐したのでしょうか?
果たして夏希は、ミーナを救い出せるのでしょうか?
指揮本部には、夏希と息の合った仲間たちが集結します。事件に立ち向かっていきます。
リーダビリティのある物語の沼に、今回もズルズルと引き込まれていきます。
脳科学捜査官 真田夏希 デンジャラス・ゴールド
鳴神響一
KADOKAWA 角川文庫
2021年1月25日初版発行
文庫書き下ろし
カバー写真:Linn Hglund/ EyeEm/ Getty Images
カバーデザイン:舘山一大
●目次
第一章 愉快なかもめ★百合さん
第二章 静かなる犯行
第三章 信じられない招待
第四章 ミーナを救え
本文250ページ
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『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)(第1弾)
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