『奔流恐るるにたらず 重蔵始末(八)完結篇』|講談社文庫
2020年11月11日から11月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年11月中旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回は、逢坂剛(おうさかごう)さんの『奔流恐るるにたらず 重蔵始末(八)完結篇』(講談社文庫)を取り上げてみました。
著者は、第96回直木賞受賞作『カディスの赤い星』など、ハードボイルドや警察小説など、現代ミステリーで活躍されています。
2000年から執筆を始めた、初の時代小説「重蔵始末」シリーズは、ついに完結を迎えます。
八歳で四書五経をそらんじ、十四歳で十三経に達した俊英でありながら、普段は傍若無人で傲岸不遜な近藤重蔵。五度にわたる蝦夷地巡見を終えた後は大坂弓奉行となって大塩平八郎の知己を得るなどするが、息子・富蔵ともどもの悪口乱行がたたり、ついに役なしの小普請入りとなる。学識豊かな学者であり、あくなき探検家でもあった重蔵の、あまりにも意外なその後の道行きは。そして生涯の宿敵となった女賊りよとの最後の対決は──。
(『奔流恐るるにたらず 重蔵始末(八)完結篇 (講談社文庫)』Amazonの内容紹介より)
主人公の近藤重蔵は、松平定信が行った湯島聖堂の学問吟味において合格した俊英で、蝦夷地を探検し、間宮林蔵、平山行蔵と共に“文政の三蔵”と呼ばれました。
本シリーズは、御先手組与力として出仕、火付盗賊改方として颯爽と活躍する、若き日の重蔵が描かれています。
スケールが大きく、不世出の幕臣・重蔵をどのように描き切ったのか、興味が尽きません。
著者の父は、池波正太郎さんの『剣客商売』でおなじみの挿絵画家の中一弥さん。本シリーズの表紙装画も描かれました。
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『重蔵始末』(逢坂剛・講談社文庫)(第1巻)
『奔流恐るるにたらず 重蔵始末(八)完結篇』(逢坂剛・講談社文庫)(第8巻)