2020年8月1日から8月31日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年8月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、集英社から刊行される、朝井まかてさんの『類』を紹介します。
森鴎外には、5人の子供、於菟(長男)、茉莉(長女)、杏奴(二女)、不律(二男)、類(三男)がいました。
早世した不律を除く、4人の子たちは随想など何らかの形で、鴎外の子としての生活や思いを綴られてきました。
本書は、鴎外の末っ子、類の波瀾に満ちた生涯を描いた長編小説です。
類は、明治、大正、昭和、平成と4つの時代を生きたんですね。
明治44年、文豪・森鴎外の末子として誕生した類。優しい父と美しい母志げ、姉の茉莉、杏奴と千駄木の大きな屋敷で何不自由なく暮らしていた。大正11年に父が亡くなり、生活は一変。大きな喪失を抱えながら、自らの道を模索する類は、杏奴とともに画業を志しパリへ遊学。帰国後に母を看取り、やがて、画家・安宅安五郎の娘と結婚。明るい未来が開けるはずが、戦争によって財産が失われ困窮していく――。
昭和26年、心機一転を図り東京・千駄木で書店を開業。忙しない日々のなか、身を削り挑んだ文筆の道で才能を認められていくが……。
明治、大正、昭和、平成。時代の荒波に大きく揺さぶられながら、自らの生と格闘し続けた生涯が鮮やかによみがえる圧巻の長編小説。
(Amazon内容紹介より)
以前に訪れた文京区立森鴎外記念館で、茉莉、杏奴、於菟(長男)鴎外の家族に関する展示を興味深く閲覧したことを思い出しました。
ところが森類の『不肖の子』自筆原稿が館蔵されているそうですが、残念ながら記憶に残っていないので、本書を読んだ後に、再訪したいと思います。
森鴎外記念館は、現在、展示替えのため全館休館で、8月8日(土)から、「森家の歳時記」という展示が始まります。落ち着いたら、閲覧したいと思います。
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『類』(朝井まかて・集英社)