『襲来 上』『襲来 下』|講談社文庫
2020年7月11日から7月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年7月中旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
九州地方での豪雨が連日ニュースで報道され、災害によって犠牲となられた方も多く出てしまい、その被害の大きさに心を痛めています。被災された皆様が一日も早く元の生活に戻れるように願っています。
訪れたことがなく土地勘はありませんが、人吉や日田など、葉室麟さんや佐伯泰英さんをはじめとする九州出身の作家作品を通じて、勝手に親近感を抱いていた場所もありました
筑後川流域も、帚木蓬生さんの『水神』の舞台となっていて思い出される作品の一つです。
さて、今回は、講談社文庫から刊行される、帚木蓬生さんの長編歴史時代小説『襲来 上』『襲来 下』に、注目しています。
日蓮の従者として、対馬で蒙古襲来の惨劇を目撃した男、見助(けんすけ)の生涯を描いた歴史時代小説です。
安房国の港町・片海で漁師をしていた見助は、京の寺々に遊学していたという僧侶と出会う。僧はやがて日蓮と名を改め、鎌倉の松葉谷に草庵を構えて辻説法を始める。見助も鎌倉まで従い、草庵で日蓮の身の回りの世話をするようになる。その後日蓮は、他宗派への攻撃を強め「立正安国論」を唱える。幕府がこのまま邪宗を放置し法華経を用いなければ、国内の災難が続き他国からの侵略を受けると主張した。そして見助は日蓮の予言に伴い、九州の対馬に一人で赴くことになる。日蓮の目となり耳となるために。鎌倉から京の都までは陸路、京から博多さらに壱岐・対馬までは海路だ。遥か遠国の地への、見助の苦難の旅が始まった。
(Amazonの内容紹介より)
新型コロナウイルス禍や頻発する自然災害は私たちの暮らしぶりを大きく変えようとしています。
本書は、社会の急激な変化によって、生きづらさを感じるようになったときに、前向きになれる勇気を与えてくれる作品です。
私も文庫化を機に、もう一度読んでみたいと思います。
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『襲来 上』(帚木蓬生・講談社文庫)
『襲来 下』(帚木蓬生・講談社文庫)
『水神 上』(帚木蓬生・新潮文庫)