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魚之進が特命で潜入した江戸城で、毒見の鬼役がころり

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潜入 味見方同心(二) 陰膳だらけの宴風野真知雄さんの文庫書き下ろし時代小説、『潜入 味見方同心(二) 陰膳だらけの宴』(講談社文庫)を入手しました。

本書は、江戸市中の食いものの動向を探るために奉行所につくられた新しい役目、「味見方同心」の活躍を描く、ユーモア捕物小説の「潜入」篇の第2巻です。

将軍暗殺の企てを探るため、魚之進は南町奉行・筒井和泉守に連れられて生まれて初めて江戸城の門をくぐる。本丸に入ると、将軍の朝餉を食べた毒見役がいきなり死んでしまい城内は大混乱に。兄に続いて自分も殺される運命なのか。天ぷら、スッポン、陰膳だらけ……最高の物語と江戸の珍味をどうぞ召し上がれ!
(カバー裏の内容紹介より)

南町奉行・筒井和泉守より、味見方同心の月浦魚之進は江戸城に潜入して、城内に忍び寄る将軍暗殺企てを阻止してほしいと密命を受けました。

魚之進は、初めて入った江戸城で戸惑いながらも中奥の台所の広さに圧倒されました。

「大変なことになりました」
「どうなさった?」
 筒井が訊いた。
「ど、毒が……」
「えっ」
 誰かが毒を飲まされたのか。
――まさか、上さまが?

(『潜入 味見方同心(二) 陰膳だらけの宴』P.12より)

鬼役を務める御膳奉行が上さまの朝餉を毒見中に、倒れて、何度か嘔吐したあと、亡くなったいいます。

「味見方としては、腹いっぱいでも食わないわけにはいかないな」
 魚之進たちの番が来て、
「今日は昼飯を済ませてしまったんだ。おむすびの天ぷらというやつだけ、二つ頼むよ」
「わかりました」
 利介は要望に応えて揚げてくれた。
 おむすびが衣を着ている。これは串に刺すわけにはいかないので、揚がったものを小さな経木に載せて渡してくれる。
「どれどれ:
 熱いのでふうふういいながら食べる。

(『潜入 味見方同心(二) 陰膳だらけの宴』P.28より)

味見方の魚之進が岡っ引きの麻次を相棒に、江戸の変わった味、珍しい料理にチャレンジしていくのが何とも楽しみです。

魚之進は、死んだ兄の後家・お静への思いが募る一方で、ひょろ長いものを描くのが好きな好奇心が強い娘・おのぶにも慕われます。

将軍暗殺の企てを阻止することができるのかとともに、魚之進の恋の行方も気になることです。

潜入 味見方同心(二) 陰膳だらけの宴

著者:風野真知雄
講談社文庫
2020年4月15日第一刷発行
文庫書き下ろし

カバー装画:宇野信哉
カバーデザイン:芦澤泰偉

●目次
第一話 おむすびの天ぷら
第二話 スッポンぽん
第三話 幽霊そば
第四話 陰膳だらけの宴

本文238ページ

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『潜入 味見方同心(一) 恋のぬるぬる膳』(風野真知雄・講談社文庫)
『潜入 味見方同心(二) 陰膳だらけの宴』(風野真知雄・講談社文庫)

風野真知雄|時代小説ガイド
風野真知雄|かぜのまちお|時代小説・作家 1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。 1992年に、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞しデビュー。 2015年に、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を、『沙羅...