鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし現代小説、『脳科学捜査官 真田夏希 ドラスティック・イエロー』(角川文庫)を献本いただきました。
本書は、神奈川県警で心理職特別捜査官をつとめる、真田夏希が活躍する警察小説の第5弾。
「多田文治郎推理帖」シリーズや「おいらん若君 徳川竜之進」シリーズなど時代小説で活躍する著者が手掛ける現代ミステリーです。
アクションシーン満載で、現代の神奈川県内を舞台にし、SNSやファッション、グルメなど時代小説では描けない今どきの話が織り込まれています。
女友達と横浜ナイトクルーズに参加していた神奈川県警の心理職特別捜査官・真田夏希は、山下埠頭から上がる爆炎を目撃した。翌日、「レッド・シューズ」と名乗る犯人から、市長に対し、カジノ誘致の撤回を要求する犯行声明が出される。捜査本部に招集された夏希は、SNSを通して犯人に接触を試みるが、第2の爆発と略取誘拐事件が発生してしまう。あらゆる手口で翻弄する犯人に、夏希はどう立ち向かうのか。書き下ろし警察小説。
(本書カバー裏紹介より)
本シリーズのヒロインの真田夏希は、三十三歳で相変わらず婚活中という設定。今回も内科医の女友達に誘われて、横浜ベイ・エグゼクティブ・クルージングという、セレブな男女だけを対象とする婚活パーティーに参加していました。
パーティーで、投資の仕事をしているという四十前ぐらいの男、脇坂に声を掛けられて話しているとき、山下埠頭の岸壁付近で爆発が発生しました。
爆発を目撃し事件の可能性を感じた夏希は、メガ・クルーザーから降りてタクシーで現場に向かうことに。
――山下埠頭へのカジノ誘致に断固反対する。カジノはギャンブル依存症患者を爆発的な勢いで生産する。美しい横浜の街の生活環境は悪化して青少年たちの育成に限りない悪影響を及ぼす。愛する横浜にこのような悪魔の施設の開設を断じて許すわけにはいかない。今日十五日の正午までに京極高子横浜市長がカジノ誘致を撤回する正式決定を発表しなければ県内のどこかで本格的な爆発を起こして人命に危害を加える。昨夜の爆破は単なる序章である。警告する。犠牲者を出してはならない。 レッド・シューズ
(『脳科学捜査官 真田夏希 ドラスティック・イエロー』P.55より)
爆破犯から犯行声明が出されます。
最近のニュースで大きく取り上げられている、IR(カジノ)誘致に着想を得た、現実で起こるような設定がリアルで、犯人の真の目的とは何か、事件の謎に引き込まれていきます。
真田、織田、石田、黒田、小早川、上杉……、登場人物たちの姓がみな戦国武将から取られたネーミングになっていて、思わずニヤリとします。
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『脳科学捜査官 真田夏希 ドラスティック・イエロー』(鳴神響一・角川文庫)(第5弾)
『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)(第1弾)