2020年1月11日から1月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年1月の新刊 中」を掲載しました。
今回は、双葉文庫から刊行される、築山桂(つきやまけい)さんの文庫書き下ろし時代小説シリーズの第4弾、『左近 浪華の事件帳(4) 眠れる名刀』を紹介します。
「浪華の事件帳」シリーズは、著者の代表作の一つです。
大坂で蘭学を学ぶ若き日の緒方洪庵(物語の中では緒方章)を主人公にした伝奇時代小説の『禁書売り』が第一作で、「緒方洪庵」編は『北前船始末』との2作で構成されます。
東儀左近は、四天王寺を本拠地に、大坂の町を千年の古より守ってきた一団〔在天別流〕の男装の麗人で、章と一緒に事件を解決していく重要なキャラクター。
「左近」編は、『遠き祈り』(第1作)、『闇の射手』(第2作)、『影の泣く声』(第3作)が刊行されています(新装版があったりしてわかりづらくなっていますが)。
ということで、ファンには待望の第4作の発売となります。
NHKのテレビドラマや舞台になって、その凛とした姿が多くのファンを生んだ左近の、シリーズ史上最高の快刀乱麻!
大坂の町を千年の古より守ってきた一団〔在天別流〕。その姫が左近である。
――ある村の庄屋で、楠木正成が身に帯びたという「小竜景光」が出てきた。物騒なので四天王寺に預けるというので、僧侶から護送を頼まれた凄腕の左近。しかし左近が到着すると、庄屋は孫娘とともに賊に殺され、刀も消えていた……。
極悪人をばっさりと左近が討ち果たす、痛快シリーズ第4弾!
(Amazon内容紹介より)
本シリーズでは、武芸の達人として男装で、大坂の町を守る東儀左近が凛として実にカッコ良いです。
〔在天別流〕の姫としての神秘性を有しているところにも引き付けられます。
そして、江戸時代後期の大坂の町を舞台に、史実を押さえながらも伝奇色豊かで、痛快な時代小説となっている点も魅力として挙げられます。
なお、2018年に「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」(松竹)として舞台化されたほか、2009年1月にNHK土曜時代劇「浪花の華 ~緒方洪庵事件帳~」として、窪田正孝さん、栗山千明さんの主演で放送されました。
■Amazon.co.jp
『禁書売り 〈新装版〉緒方洪庵 浪華の事件帳(1)』(築山桂・双葉文庫)(「緒方洪庵」編第1作)
『遠き祈り 〈新装版〉左近 浪華の事件帖(1)』(築山桂・双葉文庫)(「左近」編第1作)
『左近 浪華の事件帳(4) 眠れる名刀』(築山桂・双葉文庫)(「左近」編第4作)