早乙女貢(さおとめみつぐ)さんの捕物小説、『見習い同心獄門帳』オンデマンド本を献本いただきました。
出版元の捕物出版さんでは、納言恭平さんの『七之助捕物帖』(全三巻)に始まり、有明夏夫さんの『浪花の源蔵召捕記事全集』(全五巻)、城昌幸さんの『若さま侍捕物手帖』(現在11巻まで刊行)、高木彬光さんの『千両文七捕物帳』(全三巻)、横溝正史さんの『朝顔金太捕物帳』『左門捕物帳・鷺十郎捕物帳』『不知火捕物双紙』など、絶版になって久しい名作捕物帳をオンデマンド本として次々と復刊しています。
オンデマンド本は、注文に応じて印刷・発行する「プリント・オン・デマンド」方式のため一般書店には並んでいませんが、Amazon、楽天ブックス、全国の三省堂書店で入手可能です。
「会津士魂」などで知られる直木賞受賞の時代小説作家、早乙女貢の捕物小説。
南町奉行所の若き見習い同心、津吹時之助の活躍を描く重厚な作風の、刺青の女、無明六道銭、浜町手鞠唄、髪、花火の後に、妖童、捨子花、氷雨に唄うの8編を収録。清原康正氏による解説付き。
(Amazonの内容紹介より)
本書は、南町奉行所の見習い同心津吹時之助(つぶきときのすけ)を主人公にした連作捕物小説です。タイトルに「獄門帳」とある通り、時之助の扱う事件は殺しばかり。明朗快活型ヒーローによる捕物とは一線を画し、人間の欲望や社会の裏側をも鋭く描く社会派の捕物小説です。
「――美い女だ。こんな女を誰が殺しやがったのか」
駆けつけてきた花沢市次郎は、舌打ちしながら、女の心臓を貫いた匕首を抜きとろうとしたが、肉が刃をまきこんで、容易に抜けないほどだった。
「見ろ、さっさと抜かねえから、こういうことになる」
「勝手に死体をいじっては、また雷が落ちますからな」
「何を青いことを言ってやがる。時と場合によらぁな。おめえは見習いでも同心のお扶持を頂いてるんだ。つまらんところで気兼ねするやつがあるか」
(『見習い同心獄門帳』「無明六道銭」P.41より)
若き見習い同心の時之助は、先輩の定廻り同心の花沢市次郎に、事あるごとに先輩風を吹かされながらも、探索を続けて、殺人事件の謎を解いていきます。
本書は、1974年4月に新潮社から刊行された単行本『見習い同心獄門帳』を底本としています。後に徳間文庫(1985年4月刊)より刊行されますが、いずれも現在絶版。
目次
刺青の女
無明六道銭
浜町手鞠唄
髪
花火の夜に
妖童
捨子花
氷雨に唄う
解説
■Amazon.co.jp
『見習い同心獄門帳』オンデマンド本(早乙女貢・捕物出版)