鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし弁護士ミステリー、『令嬢弁護士桜子 チェリー・ラプソディー』(幻冬舎文庫)を献本いただきました。
時代小説で幅広く活躍されている著者の現代ミステリー小説です。
現代ミステリーでは、警察に所属する女性脳科学捜査官を主人公にして、恋と仕事と謎解きが楽しめる『脳科学捜査官 真田夏希』シリーズがあります。
本書では、また一人新しい魅力的なヒロインが登場します。
玉川パートナーズ法律事務所に所属する弁護士・一色桜子は、高級住宅街田園調布の一画に居を構える法曹一家の令嬢。幼い頃のトラウマから「濡れ衣を晴らす」ことに人知れず執着している彼女に、殺人事件の弁護の依頼が舞い込む。被疑者との初めての接見で無実を直感した桜子。だが、事件の裏には空恐ろしい真実が隠されていた。新感覚ミステリー!
(本書カバー裏紹介より)
ヒロインの一色桜子は二十八歳。東大法科大学院を出て実務について一年四カ月の新米弁護士。多摩川駅近くにある、弱小弁護士事務所の玉川パートナーズ法律事務所で仕事をしています。
高級住宅地田園調布に生まれ育った、桜子は小学五年生の秋に起きた、ある事件をきっかけに弁護士になりました。
一色家は、清和源氏出身の武家の名門で、江戸時代は丹後国四万五千石の外様大名家であり、明治維新後は当主が子爵に叙せられていました。最後の子爵は桜子の曽祖父一色範定でした。
若き日の範定は、著者の『飛行船月光号殺人事件 謎ニモマケズ』に登場します。
「残念じゃない。せっかく待機しているのに」
「変態ですよ。桜子さんは」
「なんで?」
「日当、たった一万円ですよ。それも交通費込みじゃないですか」(『令嬢弁護士桜子 チェリー・ラプソディー』P.40より)
その日、桜子は当番弁護士に当たっていました。捜査機関による自白の強要や事実の歪曲などから法的知識のない被疑者を守り、冤罪を防ぐことが目的の制度で、「法の下に真実を、という言葉をモットーに依頼人の幸福のために職務を遂行する」という桜子にとって重要な役目でした。
そして、当番の終了時間間際に、一本の電話が入り、殺人事件の当番弁護士派遣を依頼されます……。
美人で正義感の強いご令嬢ヒロイン、謎が深まる殺人事件と被疑者、「冤罪事件」に萌える、弁護士ミステリーの誕生です。
著者は中央大学法学部出身で、同門の現役弁護士が法律監修を担当されているということで、弁護士の実務面でのリアリティーも担保されています。
●目次
第一章 冤罪の門
第二章 推理の迷路
第三章 新たなる疑惑
第四章 真実の価値
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『令嬢弁護士桜子 チェリー・ラプソディー』(鳴神響一・幻冬舎文庫)
『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)
『飛行船月光号殺人事件 謎ニモマケズ』(鳴神響一・祥伝社文庫)