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時代小説の名手がアメリカで出会ったもの、考えたこと

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旅の作法、人生の極意山本一力さんのエッセイ集、『旅の作法、人生の極意』(PHP研究所)を入手しました。

山本一力さんの作品の中には、損料屋の主人や博徒の親分など、その言動に一本芯の通った大人の男が登場するものが少なくありません。そのヒントは、さまざまな職業経験や人生体験を通じて、培われたものと思われます。

このエッセイでは、キャリアの最初となった旅行代理店での添乗員時代のエピソードから、ジョン万次郎の生涯を描いた大河小説『ジョン・マン』の取材のために訪れたアメリカで、出会った人、体験した話、考えたことまで、旅と人生をテーマに綴られています。

日本で体験することが少なくなった人情が、アメリカに残っていることに不思議な感じを受けました。旅の達人で、人間通の著者だからこそ、アメリカ人との間にも人情を構築できるのかもしれません。

大人のたしなみ、心を豊かにする方法など、旅は生きていくうえで大切なことを教えてくれる。そして旅は、思いがけない出会いに満ちている――。
本書は、十代で旅行会社の添乗員になり、その後、様々な職業を経て直木賞作家になった山本一力氏が、旅を通して学んだことを開陳する人生論。人気作家になった今でも、日本、アメリカ、中国などを旅しながら各地で時代小説を書いている著者だが、旅先ではトラブルがつきもの。そんな「事件」を乗り越えるたびに人生の引き出しが増えていったという著者。
若い頃の失敗談には心が温まるし、なにより著者が足を運び、運命的な出会いを果たした場所へ行ってみたいと思わせる何かがある。作家のホンネや創作秘話も散りばめられているが、生き方について考えさせられる、一力節満載のエッセイ集。
(Amazonの紹介文より)

人間関係が希薄になっている現在、大人としての振る舞いを教えてくれる先輩のような存在がいなくなって久しいです。本書は、そんな先輩のような存在。それは、かつて池波正太郎さんがエッセイなどで、大人のたしなみや上手な生き方を教えてくれていたことを思い出させてくれます。

目次
第一部 もの想ふ旅人
日本にて
 惜しむなかれ/かなうことなら/寒仕込み/いまを生きる/座を譲る/温故知新/象も歩いた道/落とす覚悟/いいにおいだね!/初荷に添えた七福神/可愛い子には旅をさせよ
日本とアメリカ――比べてみれば
 純白の制服/滋味ふたつ/見えずとも/履き物輝けば/深き薫り/Before the Mast/眼力とは/職に本分あり/ホールなればこそ/言葉のちから
アメリカにて
 「した・ひがし」に魅せられて/階段には分厚いカーペットが/時が磨いた光沢/その男、手練れなり/1セカンド、2ミニッツ、そして……/キャッシュ・オンリーの店/孤高を貫く/出番に備えよ
台湾・中国・香港にて
 失と存/あまのはら/温故知新、再び
第二部 ドライブ道すがら
 五十年目の初邂逅/ロッキーステップを駆け上がる/砂金と崖と百ドル札/セイラムの仰天情報/敦賀路ドライブ道中/相棒に乾杯!
あとがき

■Amazon.co.jp
『旅の作法、人生の極意』(山本一力・PHP研究所)
『ジョン・マン1 波濤編』(山本一力・講談社文庫)