田牧大和さんの文庫書き下ろし時代小説シリーズの最新刊、『鯖猫長屋ふしぎ草紙(七)』(PHP文芸文庫)を入手しました。
根津権現近く、宮永町の「鯖猫長屋」を舞台に繰り広げられる謎と人情にあふれる人気シリーズの第七弾です。背中の鯖縞柄が美しい雄の縞三毛猫サバと、妹分の雌の縞三毛でまだ幼いさくら、その飼い主で実際は子分扱いされている、売れない画描きの青井亭拾楽の三人が暮らしています。
鯖縞模様が美しい俺様猫サバと、飼い主である画描きの拾楽が暮らす「鯖猫長屋」に、以前ここに住んでいた戯作者・長谷川豊山が戻ってきた。なにやら厄介事を背負ってきたようで……。そんな折、おてるの亭主・与六の子だと名乗る男の子が「鯖猫長屋」に現れる。動揺を隠し、気丈に振る舞うおてるに対し、サバの大将と長屋の面々は? 猫好き必読!
(本書カバー裏の紹介文より)
猫ばかり描いている売れない画描きの拾楽は、かつて義賊で鳴らした一人働きの盗人「黒ひょっとこ」だが、その素性を知っている者はごくわずか。長屋の店子仲間からは「猫の先生」と呼ばれています。
今回、「鯖猫長屋」に、化け物、妖がわんさか出てくる読本が売れに売れている、大人気の戯作者・長谷川豊山が新入りの店子としてやってきます。
「鯖猫長屋」には、幽霊、妖、化け物の類が出る、という噂が付きまとっていました。それで店子が減ってしまったこともあり、取り壊しが取り沙汰されることもありました。豊山も吉原の遊女見習いの娘が憑いたことで一年前に「鯖猫長屋」に家移りしていたことがありました。
厄介事を嫌う反対する、長屋の纏め役のおてるをなだめて、豊山が家移りが決まります。さて、今回はいかなる騒動が起こるのでしょうか?
本書の魅力は、一に美猫サバの颯爽とした活躍ぶり、二にサバとさくらのかわいらしさ、猫好きにたまりません。そして、長屋にかかわる人々がもたらした不思議な出来事の謎解きの面白さが挙げられます。
また、「鯖猫長屋」の面々が繰り広げられる人情劇は、畠山健二さんの「本所おけら長屋」シリーズに通じる長屋時代小説の肝です。
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『鯖猫長屋ふしぎ草紙(七)』(田牧大和・PHP文芸文庫)(第7作)
『鯖猫長屋ふしぎ草紙』(田牧大和・PHP文芸文庫)(第1作)