2019年9月11日から9月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2019年9月の新刊 中」を掲載しました。
今回は中公文庫から刊行される、北方謙三さんの長編時代小説、『魂の沃野(たましいのよくや)(上・下)』を紹介します。
戦国の世に百年にわたり独立国家を形成した日本史上の事件・加賀一向一揆を小説に取り込む――北方謙三が数十年来抱えていた構想がついに結実し、血潮たぎる物語が誕生! 著者自ら「わが心の記念碑」と語る歴史巨篇。
本願寺蓮如との邂逅から、守護・富樫政親との交流、風谷党の旗揚げまで……。
かの地に燃え広がった真宗の炎と、複雑に交錯する武士・門徒の思惑の中で、 戦い、信じ、己の道を見出していく、ある地侍の熱き青春を描き切る!
(Amazonの内容紹介より)
本書の主人公は、加賀の若き地侍・風谷小十郎。
加賀で百年にわたり独立国家を成した「百姓ノ持チタル国」の誕生、加賀一向一揆に青春を懸けた男を描きます。
天野純希さんの『剣風の結衣』(文庫本刊行時に『風吹く谷の守人』より改題)のほか、これまで加賀一向一揆を真正面から取り上げている時代小説はほとんど思い出せません。
南北朝時代を新しい視点から描き、「三国志」や「水滸伝」など中国時代小説に今を生きる我々が共感し楽しめるエンターテインメントを次々と生み出した著者が、戦国時代小説にはなりにくいと思われている素材を料理するのか、興味が尽きません。
■Amazon.co.jp
『魂の沃野(上) 』(北方謙三・中公文庫)
『魂の沃野(下) 』(北方謙三・中公文庫)
『剣風の結衣 』(天野純希・集英社文庫)