誉田龍一さんの文庫書き下ろし時代小説、『最後の大疾走 御庭番闇日記(三)』(双葉文庫)を入手しました。
本書は、御庭番の家に生まれながらも、箱館奉行や外国奉行、神奈川奉行を歴任して、遣米使節団の副使としてアメリカに渡たるなどの活躍をした幕臣、村垣範正の若き日の活躍を描いたシリーズの第三作です。
将軍在位五十年、隠居して大御所となってからも幕府の実権を握りつづけた第十一代将軍・徳川家斉が薨去した。死に臨んで下された三つの遺命を果たすため、御庭番の村垣範正は天保の改革に揺れる江戸の闇を奔る――。後に奉行を歴任し、万延元年には幕府の遣米使節として海を渡った幕末を代表する能吏、村垣範正の若き日の活躍を描いた傑作時代小説、堂々の完結編!
(本書カバー裏の紹介文より)
御庭番を務める範正は、死の床にある家斉より、三つの命が与えられます。
一つ目の命は、「余の傍にいて、贅沢をし尽くした者たち、更に忠邦の政になっても、それを続けんとする者を調べだして、忠邦の邪魔になるなら排除せよ」というものです。
家斉は、自身が駄目にした徳川家の行く末を案じ、老中首座の水野忠邦が死力を尽くして幕府を立て直すと信じていました……。
本書の面白さは、実在の人物を主人公にして、天保の改革で激動する時代を、独特のユーモアを交えながらも、疾走感あふれるストーリー展開で描いた点にあります。
この三作で完結してしまうのが残念です。
同じ御庭番として登場して範正と名コンビぶりを見せる、川村修就(ながたか)も実在の人物で、新潟奉行、堺奉行、大坂西町奉行、長崎奉行を歴任した能吏です。
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『最後の大疾走 御庭番闇日記(三)』(誉田龍一・双葉文庫)
『漆黒に駆ける 御庭番闇日記(二)』(誉田龍一・双葉文庫)
『暁に奔る 御庭番闇日記(一)』(誉田龍一・双葉文庫)