2019年5月11日から5月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2019年5月の新刊 中」を掲載しました。
今回は講談社文庫から刊行される、上田秀人さんの幕末時代小説、『竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 上 万里波濤編/下 帰郷奔走編』に注目しています。
架空の幕臣を主人公にした文庫書き下ろし時代小説シリーズで活躍している著者が描く、幕末を描いた歴史時代小説です。
仙台藩下級藩士の婿養子だった玉虫左太夫は、学問を究めるため江戸に出奔した。昌平坂学問所の林復斎に認められ、仙台藩江戸藩邸の儒学者・大槻磐渓に邂逅する。世は、黒船騒動から安政の大獄の時代。蘭学を学ぼうとした左太夫は、日米修好通商条約のために渡米する外国奉行・新見豊前守の従者となる機会をつかむ。安政七年、咸臨丸の勝海舟を追うように、左太夫の乗った船は品川沖を旅立った。左太夫にアメリカはどう映ったのか?
(Amazonの紹介文より)
本書の主人公玉虫左太夫(たまむしさだゆう)は、仙台藩士として戊辰戦争が勃発すると、東北諸藩をまとめて奥羽列藩同盟の成立に尽力しています。
アメリカの先進性と植民地の悲惨さを目に焼きつけて、世界周航から帰国した左太夫。幕末の激動のなか、佐幕派の多い奥州で、近代化を進めようと孤軍奮戦します。読みごたえのある、幕末小説を楽しみたいと思います。
玉虫左太夫は、遣米使節団での克明詳細な日記『航米日録』をはじめ、観察力と筆まめで膨大な記録を残した人物でもあり、洋上で初めてビールを口にした感想も書き留めています。
⇒洋上でのビール体験を記録した筆まめの遣米使節・玉虫左太夫|KIRIN ビールを愛した近代日本の人々
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『竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 上 万里波濤編』(上田秀人・講談社文庫)
『竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 下 帰郷奔走編』(上田秀人・講談社文庫)