篠綾子さんの文庫書き下ろし時代小説、『絵草紙屋万葉堂 揚げ雲雀(あげひばり)』(小学館文庫)を入手しました。
本書は、絵草紙屋万葉堂の娘さつきが、経営危機の店を立て直すために読売(瓦版)の記者として奮闘する「絵草紙屋万葉堂」シリーズの第3弾です。
さつきと喜重郎は、およねが黒鳶式部の名で書いた黄表紙を紹介する瓦版(読売)を刷って好評を得る。そんなある日、姿を消したままの駒三が自分の兄ではないかという男が訪ねてくる。その男、清右衛門はその後も万葉堂にやってくるようになった。清右衛門が、盗賊団「蛇の目」の一味が瓦版を連絡に使っているらしいと話したことから、さつきと喜重郎は瓦版から得られた手がかりを同心に知らせたのだが…。「蛇の目」捕縛に繋がる情報は見つかったのか?
そしてさつきと伝蔵、およねと喜重郎、それぞれの仲は進展するのか。
(本書カバー裏の紹介文より)
本書の読みどころは、さつきの親友、およねが黒鳶式部の名で書いた黄表紙『他不知思染井(ひとしらずおもいそめい)』の宣伝を、万葉堂で出す読売で行う、パブリシティを描いていることです。
そこには企画の発案者であるさつきの兄、喜重郎の思いもありました。およねと喜重郎の恋の行方も気になります。
一方で、さつきと喜重郎は、盗賊団捕縛につながる情報が瓦版に書かれていたことを知った、瓦版からの情報解読に取り組みます。暗号解読のプロセスと、盗賊団を捕まえることができるのかに、ハラハラドキドキしそうです。
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『絵草紙屋万葉堂 揚げ雲雀』(篠綾子・小学館文庫)(第3作)
『絵草紙屋万葉堂 鉢植えの梅』(篠綾子・小学館文庫)(第1作)