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敗者・幕府側の隠密絵師の眼で描く幕末の真実とは

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赤心 隠密絵師事件帖池寒魚(いけかんぎょ)さんの文庫書き下ろし時代小説、『赤心 隠密絵師事件帖』(集英社文庫)を入手しました。

幕末に老中を務めた磐城平藩藩主の安藤対馬守に仕える津坂家の次男として生まれた、誠之進を主人公にした、幕末時代小説シリーズの第3弾です。

絵師を志しながらも独り立ちできず鬱々としていた誠之進は、江戸藩邸で藩主の側用人を務めていた父の命で、品川宿で暮らし、西国雄藩の藩士の動向を探ります。

河鍋暁斎の弟子である絵師、誠之進は磐城平藩の隠密という裏の顔を持つ。兄弟子・鮫次の弟が怪しい行動を共にする連中がいるらしい。その一人はアメリカ公使館員ヒュースケンを刺殺した薩摩藩士、伊牟田尚平だった。鮫次は弟の身を案じ、誠之進は伊牟田らの動向を探るべく、鮫次の故郷、九十九里へと向かう。絵師の鋭い眼が、知られざる幕末の真実を抉り出す問題作、物語が大きく展開する第三巻。
(本書カバー裏の紹介文より)

品川で売れない絵師兼旅籠の用心棒を務める誠之進は、「大蛸」の異名をもつ絵師鮫次と出会い、その師で当代一流の絵師・河鍋暁斎に弟子入りを果たします。

1、2巻では長州藩士をめぐる難事件を追っていた誠之進は、今回、薩摩藩士を伊牟田尚平の動向を探ります。

「『歴史』はしょせん勝者の詭弁。」という文庫の帯のキャッチコピーに惹かれます。敗者の側の真理を描くことが時代小説の醍醐味の一つです。

敗者・幕府側に与する隠密絵師が抉り出す、幕末の真実。3巻目にして、その面白さはますますスケールアップしています。

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『赤心 隠密絵師事件帖』(池寒魚・集英社文庫)(第3弾)
『隠密絵師事件帖』(池寒魚・集英社文庫)(第1弾)
『ひとだま 隠密絵師事件帖』(池寒魚・集英社文庫)(第2弾)