2019年2月11日から2月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2019年2月の新刊 中」を掲載しました。
ハルキ文庫から刊行される、髙田郁さんの『あきない世傳 金と銀(六) 本流篇』が本当に楽しみです。
大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として雇われた幸は、向学心旺盛で商いや呉服の知識に興味をもち、お家さんの富久と番頭治兵衛によってやがて四代目徳兵衛を継いだ長男の後添えに抜擢されます。その後も続く度重なる店の危機によって、五代目惣次、六代目智蔵と三兄弟に嫁ぐことになります。
「女名前禁止」の掟のある大坂で、夫・智蔵の理解のもと、幸は商才を生かして、商いを広げていきます。
大坂天満の呉服商「五鈴屋」は、天災や大不況など度重なる危機を乗り越え、
江戸進出に向けて慎重に準備を進めていた。
その最中、六代目店主の智蔵が病に倒れてしまう。
女房の幸は、智蔵との約束を果たすべく立ち上がった。
「女名前禁止」の掟のもと、幸は如何にして五鈴屋の暖簾を守り抜くのか。
果たして、商習慣もひとの気質もまるで違う江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を根付かせたい、
との願いは叶えられるのか。新たな展開とともに商いの本流に迫る、大人気シリーズ待望の第六弾!
(Amazon.co.jp 内容紹介より)
「五鈴屋」をまたまた試練が襲うというシチュエーションのようですが、幸がその試練をいかに乗り越えて、商いの本流に迫るのか、興味が尽きません。
ところで、これまで三兄弟に嫁ぐという物語の設定に違和感を感じていましたが、伊藤宇多(いとううた)という江戸中期に実在した女性は、なんと四代にわたる呉服店の店主に嫁ぎ、老舗呉服店の存続に尽くしたという話を最近知りました。
このいとう呉服店は、宇多と四人目の夫となって店主となる祐恵と一緒に店を発展させて、江戸・下谷広小路の松坂屋を買収して江戸進出を果たしたそうです。
本書がこの話にヒントを得ているのかどうかはわかりませんが、家の存在が今よりも数段重要だった江戸時代、店を存続するための婚姻というのは、リアリティーのあることだったんですね。
■Amazon.co.jp
『あきない世傳 金と銀(六) 本流篇』(髙田郁・ハルキ文庫)
『あきない世傳 金と銀 源流篇』(髙田郁・ハルキ文庫)(第一巻)